利害を超えて現代と向き合う

利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(40) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

二重の明るいニュース

先月、この連載で、私たちは二重の危機にあると記した(第39回)。新型コロナウイルス問題による生命の危機と、検察庁法改正による「法の支配」の危機だ。その直後の5月25日に緊急事態宣言が解除され、これに先立つ同20日に政府は検察庁法改正を断念した。どちらも、久しぶりの明るいニュースだ。でも、安堵(あんど)はできない。私たちはここで何を考えて、どう行動すべきだろうか。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(39) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

緊急事態の延長をもたらしたもの

緊急事態宣言が5月末まで延長された。隣国の韓国などでは収束して経済活動を再開しつつあるのに、日本では死者が増え続けているのは、他の先進諸国と違って、政府がPCR検査を本気で増やそうとしなかった結果でもある。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(38) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

緊急事態宣言とオリンピック延期

4月7日、7都府県に新型コロナウイルス感染症について緊急事態宣言が発令された。戦後、未曾有の事態である。日本政府は3月に小中高校を休校にしたが、感染の拡大を阻止できなかった。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(37) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

コロナウイルスの災厄

この1カ月の間に、新型コロナウイルス感染症の問題で、世界の混乱は深刻度を増した。日本では当初は対処が遅れ、首相は専門家の意見を聞くことなく独断で決定を繰り返した。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(36) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

悪しき政治は何をもたらすか?

アメリカとイランの緊張関係は幸い戦争に突入せずにとどまっているが、今度は新型コロナウイルスによる感染症が中国から始まって世界中に拡散し、世界を震撼(しんかん)させている。日本では、国会で引き続き政権の公私混同が追求されて、政府による東京高検検事長の定年延長が法律違反ではないかという疑いも投げ掛けられている。これが、今、私たちを取り巻く現実だ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(35) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

戦争の危機で始まった令和2年

本来は、令和はじめの新年にあたって平和を寿(ことほ)ぎたいところである。しかし1月3日、アメリカがイランのソレイマニ司令官をイラクで殺害したというニュースを目にして、私はお屠蘇(とそ)気分が一気に冷めてしまった。報復の応酬がエスカレートすれば、大戦争になりかねないと憂えたからである。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(34) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治における正見・正思

「桜を見る会」をめぐって首相の公私混同をはじめ次々と腐敗が明らかになり、日本政治の頽落(たいらく)が露呈しつつある。もっとも報道各社によると、内閣支持率は落ちてきているものの、まだ不支持率を上回っている。この理由は何だろうか。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(33) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

徳義共生主義の特色

前回(第32回)に紹介した通り、「徳義共生主義」は古くて新しい思想だ。なぜそう言えるのだろうか。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(32) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

新しい思想の必要性

令和になってから、良くないことが続いているように思うのは私だけだろうか。新内閣が組閣されつつあるまさにその時に、台風15号が来て千葉県に甚大な被害を与え、その傷が癒える間もなく、10月12日には記録的な大型台風19号が来て豪雨により各地に水害が生じた。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(31) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

新政党の登場から考える公共性の理念

首相側近が目立つ新内閣の顔ぶれには倫理性が感じられず、日韓の紛争には鎮静化する兆候がない。前回(第30回)に書いたように、社会から公共性が減退していくに従って、自由が後退し、戦争の危険がもたらされる。参院選で初めて議席を獲得した、「NHKから国民を守る党」(N国党)の出現からも、この問題が垣間見える。

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