講演録

ヤングケアラーと関わる上での心構え 彼らが夢を諦めず、それぞれの人生を生きるために 立命館大学産業社会学部教授・斎藤真緒氏

ヤングケアラー(本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども)は、他の子どもと比べ、人生の土台作りとなる教育や人間関係に割くエネルギー、時間が不足し、人生設計に影響を受けていることが、さまざまな調査結果から明らかになっています。また、自立のプロセスにも大きな障壁が築かれます。<ケアがあるから家を離れられない>という心理が強く働くからです。家族のために何ができるか、という責任感と自らの夢のはざまで葛藤し、家を離れることに罪悪感を抱き、結果として、ケアを理由に夢を諦めざるを得ない子どもが少なくないのです。

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好きなことを人生のパワーに 可能性を奪わない社会づくりが僕の夢 株式会社植松電機代表取締役・植松努氏

僕は今、北海道で会社をつくり、ロケット製作や宇宙開発などの事業を行っています。中学や高校の時の成績は悪かったのですが、母に将来の夢として、大好きなロケットを作りたいと話した時、無理だとも、頑張れとも言われずに、「思うは招くだよ」という言葉をかけられました。これが後押しとなり、大好きなことのための勉強を頑張れば、夢は形になると考えるようになりました。大好きなことこそ人生のパワーになる。夢があればなんでもできます。

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「死にたい」気持ちと闘っている人の、心の叫びに耳を傾けてください 認定NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター理事・村明子氏

私は長年、電話相談員として、「死にたい」という思い(希死念慮)を抱えて苦しむ方々の声を聴いてきました。相談の際、大事にしているの“ビフレンド(友達になる)”という意識です。悩みを打ち明ける方の傍らで、友達のように「そうなんだね」と気持ちを聴き、時には耳の痛いことを言い、ユーモアを交えながら、正直に関わるよう心がけています。

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一人ひとりが「志」を持ち、いろいろな「優秀さ」が並び立つ社会を 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長・上田紀行氏

近年、大学の学生たちの気質が変わってきました。特に感じるのは、自分は人からどう見られているのかと、周囲の評価ばかり気にする学生が増えたことです。「人から変な人だと思われたくない」「人に受け入れられたい」――そう思って、なるべく自分の個性を出さないようにするあまり、〈自分は本当はどんな人間なのか〉〈この一生で何をやりたいのか〉といった、とても大切なことを見失っているように思います。

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地球に感謝し、よりよい環境を未来につなぐ 宇宙飛行士・山崎直子氏

2010年に国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しました。無重力に身を置いた時に意外だったのが、懐かしいような思いをしたことです。なぜなら体が浮く感覚が、胎内にいた時を思い出すからと表現する方もいます。また、私たちの体はもともと宇宙のかけら、つまり地球も私も皆、同じ元素でできているからかもしれません。宇宙とは、冒険で行く所というより、ふるさとを訪ねに行くような感じがしました。

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新たな視点で「共感力」育む社会づくりを 人類学・霊長類学者 山極壽一氏

人類は700万年前、チンパンジーと共通の祖先から分かれ、アフリカの熱帯雨林を出て、直立二足歩行となりました。200万年前に脳が大きくなり始め、7万年前に言語を持ちました。アフリカを出た人類は、ユーラシア、南北アメリカ、オーストラリアの各大陸に分布域を広げ、今、世界で78億人を超えたのです。

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『辺野古建設反対運動になぜ宗教者が取り組むのか』 日本基督教団佐敷教会 金井創牧師

現在、沖縄・名護市辺野古で米軍の新基地建設工事が進められています。私は牧師として15年前に沖縄に赴任して以来、基地建設反対運動に取り組んできました。辺野古の海に出て、船上から抗議の声を上げ続けています。それはなぜかといえば、基地建設はまさに「いのちの問題」だからです。

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人を一人にしない、つながり続ける 「大きな家族」を地域の中で NPO法人「抱樸」理事長・日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師 奥田知志氏

「抱樸(ほうぼく)」の活動は今年で33年目になります。抱樸とは、原木や荒木(樸)をそのまま抱き取るという意味です。そのような人との出会い方を大切にし、困っている人、苦しんでいる人を条件をつけずに受け入れてきました。原木はいつか、机や椅子になって人の役に立つ、楽器として人を和ませる――そう信じて、一人ひとりに寄り添ってきたのです。抱樸は、「人を信じる」ことでもあります。

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志を立てるのに遅すぎるということはない 江戸時代の“立志論”に学ぶ 往来物研究家・小泉吉永氏

あなたはなぜ学ぶのか、なぜ働くのか、なぜ信仰するのか――10秒以内に答えられますか? パッと浮かんだ言葉が、自分の現状を表していると言っていいでしょう。もし自身の「志」を即答できたなら素晴らしいことです。

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『ミャンマー近現代史から見たクーデターの背景』 平和に向けて今、できることは 上智大学教授・根本敬氏

ミャンマー近現代の歩み

現在のミャンマーの土台ができたのは、1886年から1948年のイギリスの植民地期(1942~45年の日本統治期を除く)です。この間にビルマの王朝国家が壊される一方、イギリスの人口調査によって人々の間で民族意識がアイデンティティーとして形成されました。ビルマ民族はその中でも最大の民族となり、上座部仏教を信仰し、ビルマ語を母語とし、過去の王朝国家への愛着を持つようになりました。彼らの中から独立運動が起こり、1948年にビルマ連邦として独立しました。

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