政治哲学から見る旧統一教会への解散命令請求
文部科学省は、民法上の不法行為を根拠に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁に請求した(10月13日)。宗教法人法における「報告徴収・質問権」を7回にわたって行使し、教団からの資料収集や元信者への聞き取りを行い、この決定に至ったのである。
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イスラエル・ガザ「戦争」
ウクライナとロシアの戦争が続く中、もう一つの戦争が始まってしまった。パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラーム武装組織ハマスが、イスラエルに約2500発のロケット弾を発射し、100人が死亡し、800人以上が負傷した(10月7日)。イスラエル政府は「戦争状態」という声明を出して、ガザ地区に報復の空爆を開始し、ガザ地区の住民110万人に退避要求を出して地上侵攻の準備を整えた(16日)。アメリカは人道危機への対処には傾注しているが、地上侵攻は黙認している。アメリカやヨーロッパの多くの国々がイスラエル寄りであることは否みようがない。安保理決議にも採択の見通しはない。
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自業自得の「第9波」
新型コロナウイルス感染症の流行が続いている。第9波が長引いて影響が深刻化し、各地の学校で学級閉鎖や行事の中止、公共交通機関の運休、医療崩壊、救急車の出動が逼迫(ひっぱく)するといった状況がようやく報道され始めた。第8波に近づいていると言われ始めたが、実際のレベルは誰にも正確には分からない。
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家と国家というコミュニティーにおける生死の歴史
8月には、暑さの中で、お盆があり、「原爆の日」や終戦記念日があり、毎年式典がある。各家庭でも、そして日本中でも犠牲者を悼(いた)み追想し、戦争と平和を思う月だ。個人とともに、家族や国民というコミュニティーを重視する「徳義共生主義(コミュニタリアニズム)」の観点から見ても、そこで共に生きる人々の生死を改めて考えるべき時だと言える。
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これからの「道徳」の話をしよう
先月(6月18日)に駐日ジョージア大使(ティムラズ・レジャバ氏)が、自分が足を組んで電車の優先席に座っている様子をツイッターに投稿したところ、大きな反響があり、その是非についての議論が盛り上がった。日刊紙でも大使にインタビューがなされて、私がコメントを求められた(朝日新聞7月14日付夕刊)。
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戦争が破壊して奪ったものを回復させることは人間の使命
苦難を歩んできた残留二世たちの生き方が問いかけるもの
一年間、苦難の戦後を生きてきた「忘れられた日本人」であるフィリピン残留日本人二世たちの声に耳を傾け、思いを馳(は)せて頂きありがとうございました。
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公私混同――政治家? 政治屋?
先月(第74回)に続いて、ウォルター・リップマンに始まる「公共哲学」という視点から、現実政治を見てみよう。リップマンは、本来の「政治家(ステイツマン)」は公共的利益の実現を追求すべきであって、「政治屋(ポリティシャン)」のように私益を追求すべきではない、と主張した。この二つを概念として明確に区別したわけだ。さて、それでは今の日本の政治家は、どちらに相当するだろうか。
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戦後78年。命の尊さ、平和の大切さを伝えていく使命
防衛費の倍増が招く事態を憂慮
昨今、日本は防衛力の強化を加速させています。政府は昨年、2027年までに防衛費をGDP(国内総生産)の約2%、5年間で総額43兆円ほどにすることを決定。これは、年間軍事費を約10兆円に押し上げ、米国、中国に次ぐ世界第3位の規模です。岸田文雄首相は、毎年4兆円(300億ドル)の追加予算が必要と述べ、その25%を賄うために増税を提案しました。
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感染放任主義と自ら律して身を守る必要性
暖かい季節になってきた。ゴールデンウイークの歓楽気分を経て、「コロナは終わった」というように、あたかも問題が収束したような風潮が漂っている。感染症などの専門家たちが警告しているように、政治的思惑で5類になったからといって、コロナ感染そのものがなくなったわけではなく、浮かれるのは禁物だ。検査や治療も自費で賄う必要性が増大し、感染者や濃厚接触者の外出禁止も大幅に緩和されたから、コロナ感染者がいわば野放しになったようなものだ。このため感染リスクは増大し、日々の感染状況の公表もなくなってしまったのだから、人々が気づかないうちに蔓延(まんえん)してしまう危険がある。事実上は、統計隠蔽(いんぺい)と同じような効果があるわけだ。
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国際機関、政府、NPOが連携――「誰一人取り残さない」救済の実現を
2021年4月、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐フィリピン事務所が残留日本人二世(残留二世)に関する報告書を作成しました。この中で、フィリピンに残留した日本人を「無国籍のリスクにある人々」と認め、国家が緊急に解決するべき人道問題として、日本とフィリピンの二国間協議での解決を提言。一年をかけて両国の法律に照らし、残留二世の法的な立場や問題点を整理した報告書の発表は、彼らの存在を国際社会に広く知らせるものになりました。
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