寄稿(連載)

利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(85) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

復活の季節

4月になり、暖かい日が増えてきた。欧米では、生命の復活と繁栄を祝うイースター(復活祭、今年は3月31日)があり、日本では桜が開花する季節がやってきて、学校では新学期が始まる。

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食から見た現代(4) 「おかわり」と言えない高校生〈後編〉 文・石井光太(作家)

校舎の一階の奥にある食堂からは、午後5時を過ぎると胃袋をくすぐるような食事の匂いが漂ってくる。毎晩3名の調理師が広いキッチンに立ち、「完全自校式(校内ですべて調理する)」で給食を作っているのだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(84) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

悪事露呈の時代

自民党の政治資金パーティー裏金問題は国民の失望を招いている。衆議院に続いて、参議院でも政治倫理審査会が開催されたが、ほとんど新しい事実は明らかにならなかった。そこで、野党4党は証人喚問を要求し始めた。これは、当然だろう。

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食から見た現代(3) 「おかわり」と言えない高校生〈前編〉 文・石井光太(作家)

埼玉県にある創設58年を迎えた定時制高校の給食は、あたりが暗くなった午後6時5分からはじまる。1時間目(午後5時20分~)と2時間目(午後6時35分~)の間の30分の中休みが給食の時間だ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(83) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

動乱時代に入った日本政治

自民党の6派閥の中で、裏金問題によって関係者が立件された安倍派・二階派・岸田派が解散を決め、続いて森山派や谷垣グループも解散を決定した。第81回の連載で書いたように、最大の権勢を誇った安倍派の解散には、多くの人が「盛者必衰(じょうしゃひっすい)――おごれる人も久しからず」(平家物語)という思いを抱いただろう。派閥が公式に解散したからといって、実体がなくなるとは限らない。けれども、安倍晋三元首相没後に集団指導体制になっていた安倍派は結集力を失うから、往時の力を復元することは難しいと思われる。

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食から見た現代(2) ココナッツとDV〈後編〉 文・石井光太(作家)

DV被害に遭った外国人女性たちは、在留資格や離婚や親権といった法律的な問題と同時に、精神的なダメージを負っていることが少なくない。そうしたハンディをいかに乗り越えていくのか。

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食から見た現代(1) ココナッツとDV〈前編〉 文・石井光太(作家)

シニガン、カオマンガイ、フォー、アドボ、ガパオライス……。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(82) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

動乱の辰年

正月のお屠蘇(とそ)気分が、石川県で発生した震度7の能登半島地震で一気に覚めた。「明けましておめでとうございます」というあいさつに続いて、災害の心配が口にされるようになってしまった。私自身も、多くの被害を受けた七尾市などで対話型講義を行ったことがあり、出会った人々の安否を思い、暗然とした。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(81) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

現代版「平家物語」における「鐘の音」

安倍晋三元首相の国葬の際に、この連載(第67回)で『平家物語』の「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす」という有名な文句を引用した。安倍政治の「必衰」を予感したからだが、それから1年3カ月が経って、日本政治の「盛者必衰」が現実化する時が遂(つい)に到来しつつあるようだ。安倍政治に批判的なキャスターらが降板していったテレビや新聞で、現代版『平家物語』の末路を予感させるニュースが、「鐘の音」のように連日鳴り響いている。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(80) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治哲学から見る旧統一教会への解散命令請求

文部科学省は、民法上の不法行為を根拠に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁に請求した(10月13日)。宗教法人法における「報告徴収・質問権」を7回にわたって行使し、教団からの資料収集や元信者への聞き取りを行い、この決定に至ったのである。

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