利害を超えて現代と向き合う
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(89) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
死者とお盆
日本の民間信仰では、お盆には、縁のある死者が地上に戻ってきて、生きている人々と交流ができると信じられている。だから、日本人はこの時期にお墓参りをし、お供えをして、死者に対して祈る。この慣習は、今でもかなり受け継がれている(拙著『神社と政治』角川新書、2016年、第5章)。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(88) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
東京都知事選におけるポピュリズムの勝利
東京都知事選は、小池百合子知事が圧勝した。当初は前参議院議員の蓮舫氏との与野党対決とみられていたが、実際には広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二氏が2位で、3位となった蓮舫氏は惨敗と評されている。この選挙をどう考えるべきだろうか。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(87) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
政治的腐敗と政治的疑惑
自民党の提出した改正政治資金規正法が成立した(6月19日)。政策活動費の使途公開を10年後にするなどさまざまな点で不十分な法案であり、満足のいく政治改革とは言えず、政治的浄化が達成されるわけもない。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(86) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
政治的激変の兆候
4月28日、衆議院の3選挙区で補欠選挙が行われた。自民党の裏金問題が原因となって、唯一候補を立てることのできた島根1区で自民党が敗北し、3選挙区とも立憲民主党が全勝した。さらに、立憲民主党と野党首位を争っていた日本維新の会も、候補者を立てた東京15区と長崎3区の双方で敗北し、東京15区では小池百合子都知事が応援した乙武洋匡候補も惨敗した。日本維新の会と、小池都知事が作った都民ファーストの会は、日本におけるポピュリズムの代表的存在と目されている。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(84) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
悪事露呈の時代
自民党の政治資金パーティー裏金問題は国民の失望を招いている。衆議院に続いて、参議院でも政治倫理審査会が開催されたが、ほとんど新しい事実は明らかにならなかった。そこで、野党4党は証人喚問を要求し始めた。これは、当然だろう。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(82) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
動乱の辰年
正月のお屠蘇(とそ)気分が、石川県で発生した震度7の能登半島地震で一気に覚めた。「明けましておめでとうございます」というあいさつに続いて、災害の心配が口にされるようになってしまった。私自身も、多くの被害を受けた七尾市などで対話型講義を行ったことがあり、出会った人々の安否を思い、暗然とした。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(80) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
政治哲学から見る旧統一教会への解散命令請求
文部科学省は、民法上の不法行為を根拠に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁に請求した(10月13日)。宗教法人法における「報告徴収・質問権」を7回にわたって行使し、教団からの資料収集や元信者への聞き取りを行い、この決定に至ったのである。