内藤麻里子の文芸観察

内藤麻里子の文芸観察(10)

いつの日か家族は役目を終える時がくる。それは悪いことでも悲しいことでもない。ただ、どうしようもなくやってくるものだ。

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内藤麻里子の文芸観察(9)

世の中(人間=じんかん)には、どんなに理不尽でもままならないことはたくさんある。大方の人は現状に甘んじ、漫然と過ごす。しかし残り一厘の人が「何のために生まれてきたのか」と自問し、異議を申し立て、理想を掲げて苦闘する。

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内藤麻里子の文芸観察(8)

子供たちが主人公だが、しっくりと心に響いてくるのが、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』(集英社)だ。短編集だからいろいろなシチュエーションがあって楽しいし、“コロナ疲れ”の心のビタミンとしてお薦めの一冊だ。

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内藤麻里子の文芸観察(7)

赤レンガ造りの東京駅の復原工事が進んでいた頃、ニュースなどで設計者として辰野金吾という名前を盛んに耳にした。「日本の近代建築の祖」だという。

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内藤麻里子の文芸観察(6)

「山姥(やまんば)」「班女(はんじょ)」「葵上(あおいのうえ)」など、能の演目から触発された短編8編を収めているのが、澤田瞳子さんの『能楽ものがたり 稚児桜』(淡交社)だ。古代日本を舞台に、人々の生きる姿を自在に描いて、流れるように物語を紡ぎ出してみせる。この作家ならではの短編集と言っていいだろう。

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内藤麻里子の文芸観察(5)

我々はそれぞれの生まれや育ち、仕事、家庭、趣味・嗜好(しこう)、その時々の事情や時代などさまざまな背景に照らされながら、今この瞬間を生きている。そういう人間というものを映し出すかのように、登場人物を包括的にとらえようと試みているのが辻原登さんの『卍(まんじ)どもえ』(中央公論新社)である。

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内藤麻里子の文芸観察(4)

泣ける小説の名手と言って、まず思い浮かぶのは浅田次郎さんであるが、この作家はまた笑える小説の名手でもある。

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内藤麻里子の文芸観察(3)

海外で起きた銃乱射事件のニュースに触れると、我々はとかく何人死傷者が出たか、事件の背景は何かに目を奪われがちだ。しかし、不幸にも現場に居合わせた人々というのはただ逃げるだけではなく、そのとき何らかの問題に直面しているケースもあったろう。そんなことを手の込んだ仕掛けで見せつけるのが、呉勝浩さんのミステリー『スワン』(角川書店)だ。

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内藤麻里子の文芸観察(2)

荻原浩という作家は、どこか朗らかな語り口を身上とする。

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内藤麻里子の文芸観察(1)

芥川賞を受賞した『火花』、『劇場』と小説を発表するたびに話題を集める、お笑い芸人にして作家の又吉直樹さん。注目の新作『人間』(毎日新聞出版)は、一層パワーアップした思索に幻想的な場面のスパイスも効き、どうしようもない人間の姿をつきつけてくる。

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