こども食堂から築く共に生きる社会

こども食堂から築く共に生きる社会(12)最終回 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

人々をつなぐ――こども食堂が地域の「接点」に

かつて、お寺は地域のインフラでした。現代でも、人は生まれてから死ぬまでの間に、何らかの形でお寺にお世話になっていると思います。そしてお寺は、地域の交流拠点という役割も担っていました。季節ごとに、お寺の境内で町のお祭りが行われることも珍しくありませんでした。

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こども食堂から築く共に生きる社会(11) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

「居場所」の多い社会によって、安心を感じられるのは誰なのか

2022年も、こども食堂の数は増加し、前年から1000カ所増えて7000カ所になりました。全国の中学校の数は約1万校で、年々、統廃合による減少が続いていますから、こども食堂が今のペースで増加した場合、2、3年後には、日本は中学校よりも、こども食堂の方が多い社会になります。

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こども食堂から築く共に生きる社会(10) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

誰かのために――その思いがバトンとなり、みんなが暮らしやすい地域に

前回、こども食堂は、私たちが「よい祖先になる」ために必要な取り組みで、それは私自身の経験から言ってもそう思うと書きました。今回は、その私の経験をお伝えしたいと思います。

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こども食堂から築く共に生きる社会(9) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

未来を生きる子どもたちへ――「バトン」を手渡す私たちの生き方

自分の暮らす地域がずっと続いていくためには、今何をすればいいか――こども食堂はその答えの一つだと前回書きました。

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こども食堂から築く共に生きる社会(8) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

地域や社会、世界の「持続可能性」が叫ばれる背景にあるもの

さて、気づけば今年も3分の2が終わりました。この連載もそろそろ終わりを意識する時期に入ってきたと感じます。

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こども食堂から築く共に生きる社会(7) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

相談機関とこども食堂――それぞれの強みを生かして誰もが暮らしやすい地域に

前回、こども食堂は「相談ありき」だと考えていた私の限界を超える取り組みだ、と書きました。その発明のすごさを素直に認め、その普及を後押しすることが、今の自分にできる最大の社会貢献だと感じています。

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こども食堂から築く共に生きる社会(6) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

貧困問題の限界を超える――「こども食堂」という発明

「どなたでもどうぞ」と、すべての人に開かれた形で運営されるこども食堂は、そこに行っても「あの人、大変なんだね」と言われないがゆえに、行くことが恥ずかしくならない、と前回書きました。それを信号機に例えて、「黄信号の人が青信号の顔をして行ける場所」とも言いました。

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こども食堂から築く共に生きる社会(5) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

すべての子どもたちを受け入れる「どなたでもどうぞ」の姿勢

貧困問題という社会の課題があることを世の中になんとか認めてもらいたかった私は、その実情を伝えるとき、できるだけ厳しい状態、過酷な状態、不遇な状態、悲惨な状態にある人を取り上げてきた、と前回書きました。そうでないと「怠け者の自業自得でしょ」と思っている人たちが納得してくれないからです。

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こども食堂から築く共に生きる社会(4) 文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

なかなか認められない貧困問題

前回、「みんなの中に大変な誰かを(さりげなく)包み込む」というこども食堂のアプローチは、自分からは相談に来ない人たちとの出会いを可能にした「発明」だという話をしました。そんなことを言っているのは日本中でたぶん私一人なのですが、私にとっては、それくらい大変な驚きでした。

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こども食堂から築く共に生きる社会(3)  文・湯浅誠(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

大変な誰かをさりげなく包み込む

「貧困の子どもにあなたができることは?」と聞かれたら、あまりないような気がするが、地域のにぎわいをつくりたい、そこからはじかれる子をなくしたい、ということなら、自分にもできることはあるような気がする――そんな人たちの思いを集めるようにして、こども食堂は広がっていきました。

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