カルチャー

ミンダナオに吹く風(3) 文・松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

鳴り響く銃声 そして、かなたに上る煙

今でこそかなり穏やかになったものの、ミンダナオ子ども図書館の活動を始めた2000年以降の10年間は、3年おきぐらいに起こる大きな戦争で、避難民が続発した。それ以外にも毎年のように「リドー」と呼ばれる地域紛争が勃発し、若者たちと一緒に避難民救済に駆け回った。

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イスラームの世界〜あなたの上に平安あれ(4) 文・奥田敦(慶應義塾大学教授)

アルハムドゥリッラー すべての称讃はアッラーに

昨年の熊本地震。4月14日の夜の前震から16日未明の本震、その後も九州が揺れ続けた。多くの人々が命を奪われ、多くの家屋が倒壊あるいは倒壊の危機にさらされ、一時期は電気、ガス、水道、交通機関などが完全に麻痺(まひ)した。多くの人々が避難生活を強いられ、その間、子供たちも困難な通学を余儀なくされ、感染症やエコノミークラス症候群による二次的、三次的な被災が深刻の度を増し、対応が求められた。あれから1年、思われているほど復興が進まないという報道が盛んになされる昨今である。

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バチカンから見た世界(14) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

礼拝中の宗教者を攻撃する者は、宗教者にあらず

イタリア北部トリノにある「新宗教研究所(CESNUR)」の統計によると、昨年、自身の信仰を守ったために殺害された世界のキリスト教徒の総数は9万人に上った。また、5~6億人のキリスト教徒が、信教の自由が十分に保障されない状況下で生活しているとのことだ。特に、中東やアフリカで「イスラーム」を名乗る過激派組織が台頭し、キリスト教徒を迫害するようになってから、世界のキリスト教界では「殉教のキリスト教一致」といった表現が聞かれるようになった。キリスト教の諸教会が、「殉教者」によって一致しているというのだ。

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バチカンから見た世界(13) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「魂と民を失った」と懸念される欧州連合は、どこに向かうのか(下)

欧州連合(EU)の礎石となった「ローマ条約」調印(1957年)の60周年を祝う式典を翌日に控えた3月24日、ローマ教皇フランシスコは、EUに加盟する27カ国とEUの首脳をバチカンに迎えて演説した。英国が離脱するなど、EUの崩壊が懸念される中、結束を呼び掛ける内容だった。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(2) 文・浦崎雅代(翻訳家)

タイではお釈迦さまの誕生日を祝わない!?

4月8日。日本では釈尊の誕生を祝う「降誕会(灌仏会=かんぶつえ)」がある。クリスマスほど派手ではないにしろ、寺院や仏教関係の場所であれば小さなお釈迦さまの像に甘露を灌(そそ)ぎながら、その誕生に思いをはせる日となるのだろう。

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バチカンから見た世界(12) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

世界の危機的状況には、核兵器では対処できない

核兵器を国際条約によって法的に禁じる「核兵器禁止条約」の制定交渉が3月27日から31日まで、ニューヨークの国連本部で行われた。

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バチカンから見た世界(11) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「魂と民を失った」と懸念される欧州連合は、どこに向かうのか(上)

欧州連合(EU)の礎石となる「ローマ条約」の調印(1957年3月25日)から60年が経過した。当時のベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、西ドイツの6カ国の代表が調印したローマ市庁舎に、3月25日、英国を除くEU加盟の27カ国の首脳が集い、条約調印60周年を祝うとともに、統合の将来像を描く「ローマ宣言」に署名した。英国の離脱を前に、結束を強める狙いがあるとみられている。

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えっ、これも仏教語!?(4)

【他力本願】

「自分はなんの努力もせず、他人の力に頼って願望を成就しようとすること」などと、好ましくない意味で使われていますが、これでは、さぞ、阿弥陀さまもお嘆きのことでしょう。

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ミンダナオに吹く風(2) 文・松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

「あなたは、どこのNGOに?」

初めてミンダナオに足を踏み入れたときは、貧しくても、孤児になっても明るさを失わず、生き生きとしている子どもたちの様子に感動した。ミンダナオの子どもたちは、手を振ると必ず笑顔で応えてくれるし、なかには駆けよってきて手をつなごうとする子も多い。

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イスラームの世界~あなたの上に平安あれ(3) 文・奥田敦(慶應義塾大学教授)

人間の絆を育むラマダーン

世界中のイスラーム教徒たちが、今年は、5月の下旬から1カ月にわたって断食する。 しかし、なぜ彼らは、断食するのだろうか。私もかつて在外研究中のシリアで、この質問をされ、「断食をすれば食べられない人の気持ちがわかるから」と答えた記憶がある。ところが、これがまったく、残念なくらい浅い答えなのだ。

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