カルチャー

バチカンから見た世界(45) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

エルサレムの嵐――トランプ大統領の宣言の波紋

トランプ米大統領は12月6日、エルサレムをイスラエルの首都として承認する宣言文に署名し、国務省に対してテルアビブにある同国大使館をエルサレムに移転させる手続きの開始を指示した。 続きを読む

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バチカンから見た世界(44) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

法句経と聖フランシスコに示された共通の基盤

ミャンマー訪問中のローマ教皇フランシスコは11月19日、同国の国家サンガ大長老会議の指導者と会見した。席上、スピーチを行った教皇は、あらゆるものが関係して存在していることを教える仏教の諸法無我に照らして、人間関係の一致を実現していくには、あらゆる無理解、不寛容、偏見、憎悪を克服していくことが必要と強調した。その上で、「怒らないことによって怒りにうち勝て。善いことによって悪いことにうち勝て。わかち合うことによって物惜しみにうち勝て。真実によって虚言の人にうち勝て」※という法句経の一節と、「主よ、私を平和の道具となさしめてください。憎しみがあるところに愛を、争いがあるところに許しを(中略)、闇あるところに光を、悲しみあるところに喜びを」というキリスト教の聖フランシスコの言葉を引用。「こうした叡智(えいち)が、文化、民族、宗教的確信の違いによって傷ついた人々を癒やし、忍耐と理解を育むための努力に息吹を与え続けていくように」と願った。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(10) 文 浦崎雅代(翻訳家)

タンマヤートラ――行進でも、デモでもなく、気づきと共に歩く
8日間で約100キロ――タイの田舎道を歩くイベントが12月に行われる。年々参加者が増え、今年も300人は下らないだろう。僧侶も一般の人も共に歩くのだが、何かを訴えるための行進(パレード)やデモではない。速さも距離も競わず、我慢比べでもない。シュプレヒコールを上げたり、何かを叫んだりして歩くのではなく、ただ静かに自分のペースで歩く。その名は「タンマヤートラ」。タンマは法、ヤートラは巡礼を意味するので「法の巡礼」と訳す。「みんなで歩く瞑想(めいそう)」もしくは「タイ版お遍路さん」とでも紹介できるだろうか。

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バチカンから見た世界(43) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

対話するブッダとキリスト――アングリマーラと福音史家の聖マタイ

『仏教徒とキリスト教徒が共に歩む非暴力への道』を総合テーマに、11月13日から16日まで台湾の霊鷲山無生道場で行われた「第6回仏教徒・キリスト教徒会議」の席上、バチカン諸宗教対話協議会議長のジャン・ルイ・トーラン枢機卿は、仏教徒に「どのようにして、愛徳をもって真理を語るかについて学び合おう」と呼び掛けた。さらに、両宗教間の対話を促進し、共通の価値観を基盤とする協力関係の構築に向けて発展させる提案をしたことは、前回の本連載で報告した。

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バチカンから見た世界(42) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

仏教徒とキリスト教徒の対話の行方
バチカン諸宗教対話評議会主催、中国地域司教協議会、霊鷲山僧院(台湾)共催による「第6回仏教徒・キリスト教徒会議」が11月13日から16日まで、霊鷲山無生道場で開かれた。今回は『仏教徒とキリスト教徒が共に歩む非暴力への道』が総合テーマに掲げられた。

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ミンダナオに吹く風(10) 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

ミンダナオに関心を抱く日本の若者たち

2年ほど前から、妻のエープリルリンと、現在中2の長女、小6の次女と一緒に日本に滞在しつつ、ミンダナオに通う生活を送っている。

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バチカンから見た世界(41) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

核兵器禁止条約は一条の光明――ヒバクシャと教皇

11月10、11の両日、バチカンのシノドスホールで『核兵器から解放された世界と包括的軍縮のための展望』と題する国際会議が開催された。主催は、バチカンの「人間開発のための部署」。国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ前事務局長ら歴代のノーベル平和賞受賞者、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表ら国連関係者、NATO関係者、米国、ロシア、韓国、イランなどの外交代表、研究者、市民活動の代表、諸宗教関係者ら約200人が参加した。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(9) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

「死ぬ前に死ぬ」という生き方――カンポンさんに学ぶ

タイ語に「ターイ・コン・ターイ(死ぬ前に死ぬ)」という言葉がある。タイで高僧として知られるプッタタート師が生前に語られた言葉だ。奇妙なフレーズだが、その意味するところは「肉体の死を迎える前に、“この私が”という我執(がしゅう)を死なせる」ということである。だから「死ぬ前に死ぬ」ことは良きことであり、修行者の目指すところであるというのだ。

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バチカンから見た世界(40) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

ムスリム排斥を祈る人々の“壁”――ポーランド国境

10月7日は、1571年にギリシャのコリント湾口のレパント沖で、ローマ教皇ピウス五世、スペイン(フェリペ二世)、ベネチア共和国のキリスト教国の連合艦隊が、イスラームのオスマン帝国海軍を打ち破った「レパントの海戦」の戦勝記念日とされている。今年の10月7日、ポーランドでは、約100万人のカトリック信徒たちが全長3500キロにわたる国境線に集結し、ムスリム(イスラーム教徒)の移民を排斥する、祈りの一大集会を実施した。

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バチカンから見た世界(39) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

国際ステーションのクルーと対話する教皇

地上から約400キロ上空の軌道を秒速10キロで旋回する国際宇宙ステーション(ISS)。現在、米国(3人)、ロシア(2人)とイタリア(1人)の6人の宇宙飛行士が、第53回のミッションを遂行している。

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