男たちの介護

男たちの介護――(2) 50年間連れ添った妻が脳腫瘍に 突然始まった介護

辛抱強いなぁ、ユキは……

妻をトイレに連れて行こうとした時だった。妻の足が前に進まず、夫婦で廊下に倒れ込んだ。山田房雄さん(81)が妻で1歳年下のユキさんの介護にあたったのは5年前、期間は1年間だった。「もう私の力ではどうにもならん。竹中さん(竹中とみこさん・63歳)に電話するよ」。竹中さんは、週に何度も心配して山田家に様子を見に来てくれる主任さんである。

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男たちの介護――(1) 50年間連れ添った妻が脳腫瘍に 突然始まった介護

心身ともに限界を感じ

自転車を点検した。妻が言った不具合は見つからない。買い物から帰ってきた妻からこう頼まれたのだ。「帰り道、ハンドルがグラグラしたから見てほしい」。ハンドル部分をもう一度調べてみたが、やはり異常は見つからなかった。「おーい、大丈夫だぞ」「おかしいわね。グラグラしたんだけど」。平成24年12月、東海地方に暮らす山田房雄さん(81)と、1歳年下の妻・ユキさんとのやりとりである。この些細(ささい)な出来事が、なぜか房雄さんの心に焼きついた。

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男たちの介護――プロローグ 津止正敏・立命館大学教授に聞く

妻や両親の介護を一人で背負う男性は少なくない。年齢的にも高齢の人たちだ。助けを求めたくても、子供たちは遠くに住んでいたり、子供に迷惑は掛けられないといった遠慮が働いたりするからなのだろうか。男性介護者を孤立から守るにはどうすればよいのか、連載を通し探っていきたい。プロローグとして男性介護者が置かれている実情と課題を立命館大学の津止正敏教授(社会学)に聞いた。

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