『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(30) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井 節

選挙結果をどう見るか

皆さんは先月の参院選にどのような関わり方をされただろうか。投票率は5割を切り、民主主義の空洞化や危機が報じられている。与党が改選議席の過半数を獲得して“勝利した”と報じられ、安倍首相は国民の信任を得たとして、自身が争点にしようとしていた改憲のための議論を呼び掛けた。

半ば専制化した政治体制(競争的権威主義)では、政権がメディアをかなりコントロールしているがゆえに、政府の勝利が普通だ。以前に比して選挙の報道が少なくなっているから、当然投票率は低くなる。このような選挙結果は、今の政治体制の特質から予想される通りだ。

でも、与党は議席全体の3分の2を割り込んだから、このままでは改憲の発議ができなくなった。実際には政権は手痛い敗北を喫したのであり、この点では野党が辛勝した。これは、決して小さなことではない。

政権の操作に惑わされずに、自らの眼で真実を観(み)た人々が一定数、投票所に足を運んだからこそ、すぐに改憲をすることは不可能になった。これによって、日本には希望の道筋が細く、しかしくっきりと現れたと言ってもいいだろう。

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