カルチャー

ミンダナオに吹く風(5) ムスリムの自治をめぐって 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

ムスリムの自治をめぐって

ミンダナオにおける近年の紛争の歴史を簡単に振り返ってみたい。

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バチカンから見た世界(22) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

マフィアと闘うバチカン

イタリア南部・シチリア島を訪問したローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が、同島のアグリジェント市から「マフィア関係者に忠告する。改心せよ! いつの日か、あなたたちにも神の審判が下る」と、マフィアを糾弾する歴史的なスピーチを行ったのは、1993年のことだった。マフィアの拠点で、拳を振り上げ、「自らの良心の内に多くの犠牲者を抱えるマフィア関係者は、無実の人々を殺すことはできないと知るべきだ。神は“殺すな”と言われた。なんぴとも、どんな団体、組織といえども、この聖なる神の法を変え、蹂躙(じゅうりん)することはできない」とも訴えた。

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バチカンから見た世界(21) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

火星人がいたら、彼らに福音を説く――バチカン天文台

ガリレオ・ガリレイがコペルニクスの地動説を支持し、バチカンの宗教裁判所から「異端」の判決を受けたのは1633年のことだった。だが、彼に対する裁判の見直しを試みる動きは、1823年にローマ教皇ピオ七世によって開始され、1962年から65年まで開かれた第二バチカン公会議の最後の年に、教皇パウロ六世も裁判の見直しを要請する発言を行った。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(4) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

風と太陽のオフグリッド生活――不便さの中にある豊かさ

「オフグリッド」という言葉を聞いたことがあるだろうか。電力会社から送電網を引いて電力を賄うのではなく、自分たちで電気をつくってしまうという、いわば自家製電力のことだ。実は私たちが住むライトハウスは、完全オフグリッド。風力と太陽光。二つの自然エネルギーから、生活に必要な最低限の電力を賄っている。

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バチカンから見た世界(20) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

米大統領のバチカン訪問

トランプ米大統領は、就任後に初となる外遊先としてサウジアラビア、イスラエルとパレスチナ、そして、バチカンを選んだ。日程は5月20日から24日まで。ティラーソン米国務長官は、この大統領の訪問先の選択を次のように説明した。「大統領は、イスラーム国(IS)のテロによって代表される悪の勢力に対して、3宗教の信仰が結束するならば、われわれはISに勝てると確信しているからだ」と。

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バチカンから見た世界(19) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

アズハルに響いた諸宗教者の声

4月27、28の両日、エジプト・カイロにあるイスラーム・スンニ派最高権威機関アズハルで開催された「平和のための国際会議」の席上、「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)のファイサル・ムアンマル事務総長が講演に立った。「平和とは、人間同士の友愛を根幹とするものであり、あらゆる預言者が示した基本条件」と述べた。その上で、「偽りの信仰によって正当化される暴力」を非難し、そうした暴力行為は「われわれの歴史や文化とは異質のものであり、イスラームを含めて、あらゆる宗教的価値とは矛盾する」と主張した。

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ミンダナオに吹く風(4) ミンダナオで起きている三つの戦闘 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

ミンダナオで起きている三つの戦闘

2001年に「ミンダナオ子ども図書館」を創設してから、15年以上活動を続けてきた間に、イスラム地域だけではなく、それ以外の山岳地域でも幾たびも戦闘が起こった。戦闘が勃発して避難民が出ているという情報が入るたびに、罪の無い子どもたちのことを放っておけずに救済活動をしてきた経験から、現地で起こる戦闘には3種類あることが分かってきた。

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バチカンから見た世界(18) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「聖」を名乗る暴力の仮面を剥がす

エジプト・カイロにあるイスラーム・スンニ派最高権威機関アズハルで開催された「平和のための国際会議」の席上、ローマ教皇フランシスコがスピーチに立った。冒頭、エジプトを「文明の地」と呼び、エジプト文明が知と教育を奨励し、その営みの叡智(えいち)によって多様な出会いの場と分かち合いの機会が見いだされたと語った。また、「同盟の地」とも位置づけ、エジプトの歴史において、「異なる信仰が出会い、さまざまな文化が混じり合い、しかし、混交されることなく、(国家という)共通善に向けて同盟する重要さが認知されていった」と述べた。

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バチカンから見た世界(17) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

前例のない悲劇の解毒剤は宗教――タイエブ総長

4月28日にエジプト・カイロに到着したローマ教皇フランシスコは、大統領府でシーシ大統領と懇談後、今回の訪問で最も重視していたイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」で行われている「平和のための国際会議」の会場に向かった。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(3) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

朝のタンブンライフ――「作って食べる」から「捧げて頂く」の暮らしへ

「さあ、今日もタンブンだ!」

私の朝食作りは、自分へのこの掛け声で始まる。私は今、ライトハウスという瞑想(めいそう)修行場の一角に家族で住んでいる。敷地内には、僧侶や在家修行者が滞在するという、ちょっと変わった生活だ。

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