カルチャー

バチカンから見た世界(29) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

中東の「失われた世代」

地中海東部と、その隣接地域での紛争や戦争の犠牲者は2015年時点で、推計14万4000人に上る。これに対し、暴力が原因の殺人や自殺による死者数は140万人と、紛争や戦争の犠牲者の10倍にあたることが、米ワシントン大学などの調査で分かった。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(6) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

与えない、おくりもの

私は今、タイ仏教の翻訳をしているが、タイを訪れる前から仏教には興味があった。それには二つ理由がある。母が熱心な仏教徒であること、警察官だった父が交通事故で殉職したことだ。私が2歳の頃だった。この環境と体験がなかったら、おそらく私は、今タイにいない。

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バチカンから見た世界(28) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「人身取引反対世界デー 教皇とアジア宗教者平和会議」

7月30日は、国連が定めた「人身取引反対世界デー」。ローマ教皇フランシスコは同日、バチカン広場での正午の祈りの席上、現代の人身取引に言及し、「この現象は醜く、残忍で犯罪行為だ」と非難した。

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バチカンから見た世界(27) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

反テロ巡礼を実施した欧州のイスラーム指導者

米ジョージ・ワシントン大学とオランダ・ハーグの欧州テロ対策センターはこのほど、欧米諸国で発生した「聖戦主義者によるテロ事件」に関する統計を発表した。これによると、2014年に「イスラーム国」(IS)が組織化されて以降、欧米で発生した聖戦を標榜(ひょうぼう)するテロ攻撃は51件に及ぶ。欧州は32件、北米は19件を数えた。

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バチカンから見た世界(26) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

“苦言を禁じる”

ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世やベネディクト十六世は、夏休みをイタリア北部のアルプスやローマ郊外カステルガンドルフォの避暑宮殿で過ごした。一方、「貧者の選択」をした現教皇フランシスコは、夏のバカンスには行かず、自身の居所として定めた「聖マルタの家」(バチカンを訪問する聖職者の宿)で毎日を過ごしている。

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ミンダナオに吹く風(6) 大国に独占される利権 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

大国に独占される利権

2000年に、「バリカタン」と呼ばれるフィリピン政府軍とアメリカ軍の合同演習という名の実戦が行われ、120万を超える避難民が出た。その後、その避難民たちがまだ厳しい避難生活をしているというのに、2003年に「テロリスト掃討作戦」と呼ばれる、実際にはアメリカ軍主導による戦争が行われた。これは世界中で大きな惨事が起きた(起こされた?)時期と重なっている。

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バチカンから見た世界(25) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「衣食足りて礼節を知る」は、もはや遠き昔の格言か 

「衣食足りて礼節を知る」という諺(ことわざ)を昔、学校で教わった。今、イタリア南部に漂着するアフリカ大陸からの移民や難民に関する報道を追う中で、その諺が思い起こされ、誰が「礼節を知らないのか」と問い続けている。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(5) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

苦しみの、その先――暮らしに溶けこむ出家のかたち

7月のタイは雨季真っ最中。そして約3カ月間のパンサー(安居=あんご)が始まる。パンサーとは、元々「雨季」を指す語だが、この期間、僧侶たちはそれぞれ一カ所にとどまって修行するため、修行期間そのものもパンサーというようになった。この時期に合わせて出家する人も多い。

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バチカンから見た世界(24) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

揺れ動く湾岸情勢

2003年のイラク戦争後、米国のブッシュ大統領は、アラブ・イスラーム圏に米国流の民主主義を“輸出”しようとした。しかし、イラクでは、それまでのフセイン政権下で権力の座にあったイスラーム・スンニ派が、米国の支援によって発足した同シーア派を中心とする新政権から外され、スンニ派とシーア派との対立を一層あおる結果を招いた。

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バチカンから見た世界(23) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

対峙する二つの世界――トランプ大統領とカトリック教会

米上院の共和党は6月22日、オバマ前政権時に導入された医療保険制度改革(オバマケア)を見直す代替法案の草案を公表した。この前日、トランプ米大統領は、「なぜ政権の経済担当者に富豪を任命したのかと尋ねられた。その答えは、富豪の考え方が、われわれの望む思考方法だからだ」と発言していた。

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