寄稿(連載)

共生へ――現代に伝える神道のこころ(19) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)

御神木のみならず、地域の森林をいかに後世に守り伝えていくか

「鎮守の森」と称される神社を訪れると、田園風景の中にこんもりとした境内林や、大都会のオアシスともなっている明治神宮の森、京都府の賀茂御祖(かもみおや)神社(下鴨神社)の「糺(ただす)の森」など、さまざまな形態が見られる。神社によっては境内に御神木と呼ばれる特定の樹木があり、三峯神社や來宮(きのみや)神社のようにパワースポットとして御利益を求める人々で賑(にぎ)わう例もある。しかし、静岡県掛川市の事任八幡宮(ことのままはちまんぐう)では、数年前に多くの参拝者が訪れて、樹齢500年ともいわれる御神木の楠(くすのき)に手を触れたことで御神木の幹の樹皮が剥がれたり、ハイヒールなどで木の根を踏みつけて樹勢が弱ったりして、結果、御神木の周囲に柵を設けた事例もある。先に掲げた三峯神社では、とにかく御利益にあやかりたいという一方的な願いだけで御神木にだけ触れ、写真を撮って帰る人々が相次ぎ、貼り紙や立て看板を設けて神社への参拝を喚起したようなケースもある。

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現代を見つめて(75) 情報へのアプローチ 文・石井光太(作家)

情報へのアプローチ

いつの頃からか、メディアがウクライナ難民を報じる機会が大幅に減った。半年前には連日にわたってその姿が映し出されてきたのに、最近はウクライナのニュースすら流れない日もある。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(66) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

旧統一教会による政界汚染:元首相銃撃事件と内閣改造

前回(第65回)に書いたように、参議院選挙で与党が大勝した結果はすぐに表れてきた。新型コロナウイルスの感染状況が世界最多となり、各地で医療崩壊が起きつつある。にもかかわらず、政府は何もしない。無為無策そのものだ。

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共生へ――現代に伝える神道のこころ(18) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)

地域に根付いた地名と神社の関係 歴史や伝統を後世に残す努力を

地域神社の調査をするために市街地を歩いていると、時々、細い路地に出くわすことがある。こうした路地や谷の行き詰まりを、三重県南部の方言では「世古(=せこ。瀬古)」と呼ぶ。同県内の市町村には「世古」に由来する「大世古」「瀬古口」「小世古」といった地名があり、人名では「世古」さんという方もいらっしゃる。特に市街地に世古の多い伊勢市では近年、世古を活用したまちづくりのためのワークショップが行われるなど、地名の持つ意味とその奥深さには、いまだに驚かされることが多い。

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忘れられた日本人――フィリピン残留日本人二世(1) 写真・文 猪俣典弘

「フィリピン人を殺しに来たのかい?」

1995年11月、立正佼成会青年本部(当時)から青少年育成、地域開発のボランティアとしてバターンキリスト教青年会(BCYCC、フィリピン)に派遣された私は、赴任して間もないある晩、通りがかりの老婆にこんな言葉を投げかけられました。

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現代を見つめて(74) 救済型から活躍型へ 文・石井光太(作家)

救済型から活躍型へ

秋田県の藤里町は、「大人のひきこもりゼロ」で知られる町だ。現在の人口は三千人に満たないが、少し前まで大人のひきこもりが百人を超していた。それを藤里町社会福祉協議会が数年で、実質ゼロへと改善させたのである。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(65) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

歴史的な銃撃事件と選挙がもたらした大変動

7月8日に安倍晋三元首相が奈良市で銃撃されて死亡し、その2日後に参議院選挙が行われて、与党が大勝した。この双方の事件は、今後の日本に歴史的な変化を引き起こすかもしれない。

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共生へ――現代に伝える神道のこころ(17) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)

平和や幸福を希求する人々の祈りの在り方と神社とのつながり

2019年7月19日に劇場公開された新海誠監督の長編アニメーション映画『天気の子』は、公開からわずか75日間で観客動員数1000万人を超えた大ヒット映画として知られる。この映画では、作品中に都内の廃ビルの屋上にある小祠(しょうし)と鳥居、下駄(げた)型の絵馬が神社の「絵馬掛け」に多く掛けられているシーンが登場し、ともに次の場面展開への重要な鍵となっている。

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現代を見つめて(73) 豊かさとは何か? 文・石井光太(作家)

豊かさとは何か?

――バナナの値上げを受け入れてほしい。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(64) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

日本の命運がかかる参議院選挙

7月に参議院選挙が予定されている。メディアの報道量が少なく、まだ意識していない人が多いようだが、この選挙には日本の運命がかかっている。昨年の衆議院選挙に比して野党間の協力が弱体化していて与党の勝利が予想されており、衆議院に続き、参議院の3分の2以上を改憲に前向きな政党が占める可能性が大きい。首相が4年間衆議院を解散しなければ、今後3年間は国政選挙がないかもしれない。そうなった場合、この間に戦後日本の平和主義的な理念や方針がなくなり、日本は戦争を行う国家へと変わっていくことを覚悟しておかなければならないだろう。

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