利害を超えて現代と向き合う

栄福の時代を目指して(1) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

学問的エッセー――学問と芸術の架橋という夢

「利害を超えて現代と向き合う」最終回に書いたように、8月の父逝去を契機に自分の人生の来し方行く末を省みたので、心機一転してタイトルを更新し、新しい内容も加えて執筆することになった。編集部が調べたところ、2017年3月以来、毎月連載してきた寄稿は90回に及んでおり、ちょうど良い区切りでもある。そこで今回は、〈総選挙が急に行われることになって政治についても書きたくはあるものの〉この新連載の内容について説明したい。
※総選挙に関しては、「利害を超えて現代と向き合う」の第8184回などを参照

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(90)最終回 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

四十九日と死後の審判

四十九日は故人を偲(しの)びつつ、その冥福を祈る期間である。宗教的発想ではたいてい、この世を超えた超越的世界があり、死者の魂は現世からその世界へと移行すると考えられている。日本の仏教や民間信仰では、この期間に死者たちは「中有(ちゅうう、中陰ともいう)」という状態にあり、冥土の旅をしていて、「十王」という10人の裁判官の審判を受けるとされている。“初七日”後の最初の裁判から始まって、七日ごとに七回裁判があり、14日目に三途(さんず)の川を渡る。その後、35日目には閻魔(えんま)大王の裁判があり、“四十九日”に最後の裁判が行われて、生前の行いに応じて極楽や地獄に行くとされている。いわゆる成仏のためのものだ。この成仏のために法要や供養、祈りに意味があるとされており、だからこそ、この期間は死者のための集中的な祈りの期間でもある。※第68回:葬儀における宗教的意味

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(89) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

死者とお盆

日本の民間信仰では、お盆には、縁のある死者が地上に戻ってきて、生きている人々と交流ができると信じられている。だから、日本人はこの時期にお墓参りをし、お供えをして、死者に対して祈る。この慣習は、今でもかなり受け継がれている(拙著『神社と政治』角川新書、2016年、第5章)。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(88) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

東京都知事選におけるポピュリズムの勝利

東京都知事選は、小池百合子知事が圧勝した。当初は前参議院議員の蓮舫氏との与野党対決とみられていたが、実際には広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二氏が2位で、3位となった蓮舫氏は惨敗と評されている。この選挙をどう考えるべきだろうか。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(87) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治的腐敗と政治的疑惑

自民党の提出した改正政治資金規正法が成立した(6月19日)。政策活動費の使途公開を10年後にするなどさまざまな点で不十分な法案であり、満足のいく政治改革とは言えず、政治的浄化が達成されるわけもない。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(86) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治的激変の兆候

4月28日、衆議院の3選挙区で補欠選挙が行われた。自民党の裏金問題が原因となって、唯一候補を立てることのできた島根1区で自民党が敗北し、3選挙区とも立憲民主党が全勝した。さらに、立憲民主党と野党首位を争っていた日本維新の会も、候補者を立てた東京15区と長崎3区の双方で敗北し、東京15区では小池百合子都知事が応援した乙武洋匡候補も惨敗した。日本維新の会と、小池都知事が作った都民ファーストの会は、日本におけるポピュリズムの代表的存在と目されている。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(85) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

復活の季節

4月になり、暖かい日が増えてきた。欧米では、生命の復活と繁栄を祝うイースター(復活祭、今年は3月31日)があり、日本では桜が開花する季節がやってきて、学校では新学期が始まる。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(84) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

悪事露呈の時代

自民党の政治資金パーティー裏金問題は国民の失望を招いている。衆議院に続いて、参議院でも政治倫理審査会が開催されたが、ほとんど新しい事実は明らかにならなかった。そこで、野党4党は証人喚問を要求し始めた。これは、当然だろう。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(83) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

動乱時代に入った日本政治

自民党の6派閥の中で、裏金問題によって関係者が立件された安倍派・二階派・岸田派が解散を決め、続いて森山派や谷垣グループも解散を決定した。第81回の連載で書いたように、最大の権勢を誇った安倍派の解散には、多くの人が「盛者必衰(じょうしゃひっすい)――おごれる人も久しからず」(平家物語)という思いを抱いただろう。派閥が公式に解散したからといって、実体がなくなるとは限らない。けれども、安倍晋三元首相没後に集団指導体制になっていた安倍派は結集力を失うから、往時の力を復元することは難しいと思われる。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(82) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

動乱の辰年

正月のお屠蘇(とそ)気分が、石川県で発生した震度7の能登半島地震で一気に覚めた。「明けましておめでとうございます」というあいさつに続いて、災害の心配が口にされるようになってしまった。私自身も、多くの被害を受けた七尾市などで対話型講義を行ったことがあり、出会った人々の安否を思い、暗然とした。

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