寄稿(連載)

『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(22) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

明治からの公共的政治の系譜

前回に述べたように、公議・公論・公道という公共的政治の理念は、幕末に生まれて「五箇条の御誓文」にも現れ、明治憲法下における議会政治として限定的ながら実現した。専制政府との抗争を経て政党が台頭し、1924-32年には、衆議院の多数党が内閣を組織する「憲政の常道」として、立憲政友会と立憲民政党との二大政党による政権交代が行われるようになったのだ。

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『現代を見つめて』(32) クリスマスの夜に 文・石井光太(作家)

クリスマスの夜に

十二月になると、私の住んでいる最寄り駅の前では、中高生たちが募金活動をする。五~十人くらいの制服姿の男女が、募金箱を持って「お願いしまーす」と声を合わせるのだ。

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おもかげを探して どんど晴れ(10) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

天賦の才(質)に恵まれるとは

優れた人に出会うと、思わず「天賦(てんぷ)の才に恵まれている」という言葉が漏れることがあります。

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それでいいんだよ わたしも、あなたも(8) 文・小倉広(経営コンサルタント)

冷たいんじゃない。その人なりの優しさなんだ

私の友人は悩んでいました。「おれは冷たい人間だ」と自分を責めていたのです。

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『現代を見つめて』(31) 「単純明快」の落とし穴 文・石井光太(作家)

「単純明快」の落とし穴

愛媛県松山市を拠点とするご当地アイドルグループのメンバーOさんが自殺した。まだ、十六歳だった。

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『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(21) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

明治維新における公共的政治の理念

宗教政策に関しては明治国家の失敗から学ばなければならないとすれば、政治体制についてはどうだろうか。左翼的な歴史観では、「戦前の政治は結局、軍国主義化と戦争に帰結する」から、主として批判の対象となるが、少なくとも志士たちには今でも学ぶべきところがある。

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おもかげを探して どんど晴れ(9) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

マヨイガ(迷い家)

民俗学者である柳田國男が発表した『遠野物語』の中に、「マヨイガ」という伝記があります。

マヨイガとは、山道に迷った時にしかたどり着けない、それはそれは大きくて立派なお屋敷のことです。もし、人生の中で一度でもそのお屋敷に行くことができたなら、中の物を一つだけ持ち帰って良いことになっていて、お屋敷から持ち帰った品が、その人に富を与えると伝えられています。

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それでいいんだよ わたしも、あなたも(7) 文・小倉広(経営コンサルタント)

生きている それだけであなたには価値がある

本コラムの読者の皆さんは、いわゆる「頑張り屋さん」が多いのではないでしょうか。かくいう私も、これまでずっと「頑張り屋さん」を続けてきました。近年は、だいぶ肩の荷が下りて、頑張らなくてもいい、と思えるようになってきましたが。

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『現代を見つめて』(30) 「最期」の迎え方 文・石井光太(作家)

「最期」の迎え方

「胃ろうは、患者さんの人としての尊厳を失うものなので、お勧めはしません」

七年前、病院で祖母の主治医からそう言われた。胃ろうとは、胃にカテーテルを通して、そこから栄養分を流し込むことだ。口から栄養摂取ができなくなった患者でも、胃ろうをすれば生きられる。しかし、単なる延命治療で、家族や医師の自己満足にすぎないという否定的な意見もある。

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『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(20) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

「尊皇」の志は今に生かせるか?

明治維新で活躍する幕末の志士たちは、日本が植民地化される危険を察知して、専制的な幕府を打倒することを決意した。幕府に抑圧されていた天皇を尊崇し、その旗印のもとで新しい政治体制を作って国家の独立を守ろうとしたのである。当初は『尊皇攘夷』がスローガンとなっていたが、武力では西洋諸国にかなわないと分かり、「攘夷」をやめて「倒幕」へと目標を転換した。天皇に忠誠を尽くして勤めるという意味で、「勤皇」という言葉が用いられた。

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