立正佼成会 庭野日鑛会長 5月の法話から

5月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)

本当の自分とは

今日の体験説法の最後のところで、「本当の自分になる」と述べられていました。私たちの「本当の自分」とは、別にどこかにいるわけではなくて、今が本当の自分なんですね。

ただ、そのように自分を振り返って、もっと人として向上したいとか、人間らしくとか、仏さまのような人間に一歩でも近づきたいとかいうことで、修行が始まるわけです。

只今(ただいま)の体験説法で、ご苦労されている様子がよく分かりました。これから、家の中も光明のさす、仏さまのお慈悲が照らしてくださる、そういうご家庭になっていくものと思います。
(5月1日)

自分が今あることをかみしめよう

医師で、京都大学の総長をされた平澤興(ひらさわ・こう)先生は、「生命(いのち)の不思議」ということで、こう述べられています。

「私ども生命を研究しておる者から見ますと、生きておるということが非常に不思議なのであります。医者をしておるけれども、生きることをわかっておる医者は、本当の意味ではいないのであります。生きるということがどのくらい不思議なことであるか――それは人間だけのことではなく、生命のすべてがそうなのであります」

そして、学問ということに触れておられます。

「学問とは普通の人が何とも思わないような平凡の中に奇跡を、不思議を見出(みいだ)すことだと、そう思っています。我々の一人ひとりがこの大自然の中の最も不思議な、しかも最も尊い存在であるということを思わずにおれないのであります。私どもが今日こうしてここにあるということ自体が素晴らしいこと、不思議なことでありますが、しかも健康でおるということ、元気でおるということ、私はまずそれを喜びたい、感謝したいと思います」

自らを顧(かえり)みると、健康であること、そして元気であることほど有り難いことはありません。私も85歳になり、腰の具合とかいろいろ老齢化しましたけれども、おかげさまで元気で、声も出ております。健康で元気でいること自体が有り難い――その言葉に尽きると思います。
(5月1日)

幸せになるには

お釈迦さまは、最終的には人間として生まれたことに対する感謝が一番大事だと教えてくださっている、と受け取っています。

私たちは、人間としていのちを頂いています。それはもちろん、両親がいて、また両親の両親がいて、というように長いいのちの連鎖によって今、いのちがあるわけです。

お互いさまに、私たち一人ひとりは今までもいなかったし、これからも同じ人間はこの世に生まれてこないわけであります。宇宙全体の中でたった一人――私たちはそういう一人ひとりなのです。

そのようないのちを今頂いて、一生の中で本当に大事なこととしてお釈迦さまは、健康で、毎日を楽しく過ごせ、幸せになれるには感謝を忘れないことであるとおっしゃっています。私たちは開祖さまからも、いつもそうしたことを教えて頂いています。

常に感謝を忘れずに精進したいものです。
(5月1日)

【次ページ:「毎日を新鮮な気持ちで」「親孝行は先祖への供養」】