いまどきはやりの、キャラクターが立った軽妙なお仕事小説かと思ったら、まったくそんなことはなかった。城戸川(きどかわ)りょうさんの『高宮麻綾(まあや)の引継書』(文藝春秋)は、最初こそ、その雰囲気を漂わせるが、あくの強い主人公が仕事と格闘する姿を描く、かなり本格派のビジネス小説だった。それにポップな衣を着せて、現代が放つビジネス小説と言えよう。うれしい誤算に満ちた快作だ。
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赤ちゃんはみんな天才
赤ちゃんがやってきた日を、覚えていますか? 新しい家族となった赤ちゃんに初めて会った日のことです。
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昨今の小説は派手なアイデアや、特異なキャラクターで読ませる作品が注目されがちだが、平岡陽明さんの『マイ・グレート・ファーザー』(文藝春秋)は、それらとは一線を画す。ファンタジー仕立てであるが、人生の岐路に立った男の姿を静かに、実直に描き、驚くほどじわじわと心にしみてくる。そっと自分の中に取っておきたいような小説だ。
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喜怒哀楽のすべてが大切
人間には喜怒哀楽という感情が備わっています。これらは自然からの贈り物であり、私たちにとって大切なものです。ネガティブな感情も含めて喜怒哀楽を味わって生きることは、心の豊かさを育む源になります。一方で、感情に振り回されてしまうと、ストレスが増え、心も体も疲れてしまいます。
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今年は戦後80年、そこでこんな本を選んでみた。伊吹亜門さんの『路地裏の二・二六』(PHP研究所)は、結果的に陸軍の発言力を強めた二・二六事件を題材にして、その裏で起きていたもう一つの事件を虚実ない交ぜにして描いてみせた歴史ミステリーだ。
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三浦しをんさんの『ゆびさきに魔法』(文藝春秋)は、爪を美しく彩るネイリストを題材にしている。『神去なあなあ日常』『舟を編む』など、秀逸なお仕事小説を手がけた作家による、新たな充実のお仕事小説だ。
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そういえば、新型コロナウイルス感染症が広がる前、鉄道会社の車庫などに侵入して列車に落書きする事件が相次いでいた。そんなことを思い出させてくれたのが、井上先斗(さきと)さんの『イッツ・ダ・ボム』(文藝春秋)だ。あの時、車体に書かれた文字などはグラフィティと言い、それを記した者をグラフィティライターと呼ぶのだそうだ。グラフィティを街中で目にしたこともおありだろう。斯界(しかい)のスターはバンクシーである。同書はグラフィティおよびグラフィティライターの進化系を描いた物語だ。
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東山彰良さんの『邪行(やこう)のビビウ』(中央公論新社)は、戦争小説とファンタジーを融合してカジュアルに書いているように見せながら、この作家ならではのどこかいびつで滑稽で、現代に地続きの切迫感を漂わせている。
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永嶋恵美さんの『檜垣澤(ひがきざわ)家の炎上』(新潮文庫)は、明治末から大正にかけて、横浜の上流社会を生き抜く娘の野望をミステリー仕立てで描いた、濃(こま)やかな物語である。文庫書き下ろしだ。
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大森兄弟さんの『めでたし、めでたし』(中央公論新社)は、奇想の物語だ。桃太郎ならぬ「桃次郎」による鬼退治の後日譚(ごじつたん)を饒舌(じょうぜつ)な混乱の中に語りながら、物語の終焉(しゅうえん)をめぐる葛藤を織り込んでみせた。変幻自在な文章に酔うもよし、バカバカしく楽しむもよし、なにやら深淵(しんえん)さを読み取ってもいい。
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