アジアであおられる「文明の衝突」――家族ぐるみによる悲惨なテロ事件
インドネシア東ジャワ州の州都スラバヤで5月13日、キリスト教の3教会を狙った自爆テロが発生した。ローマ教皇フランシスコは同日にバチカン広場で行われた正午の祈りの席上、この事件に言及。「愛するインドネシア国民、特に、甚大な被害を受けたスラバヤのキリスト教の共同体への連帯」を表明し、犠牲者とその家族のために祈りながら、広場に参集した信徒たちに「このような暴力行為を止め、全ての人々の心の内に憎悪と暴力ではなく、和解と友愛の感情が宿るように平和の神に祈ろう」と呼び掛けた。
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リアル一休さんはタイにいた!(後編)――「なくても大丈夫!」が育まれる環境
タイのリアル一休さん、沙弥(しゃみ=未成年の僧侶)による一時出家の醍醐味(だいごみ)は、「離れる」ことによる学びだ。楽しく、便利で、豊かな生活から、一時的にでも離れるメリットは大きい。
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「文明の衝突」論――その過去と現在
イラン革命が起こる2年前の1976年、同国最後の王朝であるパーレビ朝の時代に、米・プリンストン大学教授だったバーナード・ルイス氏は、「政治の中核にイスラームを置くことを決意した過激派によってムスリム運動が扇動され、その運動による権力の台頭が迫っていると予告した」研究者として知られる。同氏が5月19日、101歳で亡くなった。
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和平に向けて団結し始めた人々
「ミンダナオ島にIS(イスラーム国)が侵入してきている」という情報は、すでにマラウィの戦争が勃発する3年ぐらい前に、ミンダナオ和平国際監視団のメンバーを通じて耳にしていた。ISが勢力を拡大していった結果が今回のマラウィの戦争であり、短期間に市の建物が徹底的に破壊された。多くの避難民がいまだに家に帰れないのは、悲しいことだ。
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戦争は戦争を呼び 暴力は暴力を呼ぶ――教皇
米国のトランプ政権は5月14日、イスラエルの同国大使館をテルアビブからエルサレムへ移転させた。これにより、パレスチナのガザ地区では米国とイスラエルに抗議するパレスチナ人の大規模デモが展開され、鎮圧にあたったイスラエル軍の銃撃などで子供を含む60人が死亡した。翌15日は、70年前のイスラエル建国によって約70万人のパレスチナ人が難民となったことを追憶する「ナクバ(大破局)の日」だったが、この日もパレスチナ人による抗議デモは続いた。
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リアル一休さんはタイにいた!(前編)――小坊主さんたちの仏教サマーキャンプ
一足早く夏がきた。タイでは3月から5月半ばまでが夏休み。最も暑い季節である。この時期、私には楽しみにしている出会いがある。それは「一休さん」。古い日本のアニメだが、タイ人なら誰もが知っている。リアル一休さんとは、つまり、沙弥(しゃみ=未成年の僧侶)のことだ。
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ムスリム世界連盟との対話機関を常設――バチカン
イスラームで最も聖なる地とされるサウジアラビア・マッカ(メッカ)に本部を置くムスリム世界連盟の招きで、4月14日から20日まで同国を訪問した、バチカン諸宗教対話評議会議長のジャン・ルイ・トーラン枢機卿。滞在中、ムスリム世界連盟とバチカンが対話を重ねていくための常設の機関を設けることについて話し合い、トーラン枢機卿とムスリム世界連盟のムハンマド・アルイーサ事務総長が合意書に署名した。
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“朝鮮半島の春”を祈る韓国の諸宗教者
ローマ教皇フランシスコは4月25日、水曜日恒例のバチカンでの一般謁見(えっけん)の席上、「軍事境界線のある板門店で4月27日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が開かれる」と語り掛け、「両首脳の出会いは、朝鮮半島と全世界に平和を保障するため対話を促し、和解と新たな友愛に向けた具体的な歩みを始める良い機会になるだろう」と述べた。
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原理主義から対話へ――サウジアラビアの改革路線
18世紀、クルアーン(コーラン)とスンナ(預言者ムハンマドの言行)だけを依りどころにする信仰に戻るべきだとするイスラーム改革運動が起こった。厳格な原始イスラームを復活させるこの改革運動は、ワッハーブ派によるもので、サウジアラビアは同派を国是としており、政治、社会、経済のあらゆる分野が厳格に管理されてきた。
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遠く離れたマラウィの戦争
奨学生たちが暮らす私たちの「ミンダナオ子ども図書館」はフィリピン・ミンダナオ島の中央に位置するアポ山麓の町キダパワンにあり、そこからマラウィ市までは、支援物資を積んだトラックだと13時間もかかる。ミンダナオ子ども図書館を出発して縦断し、北の海辺の町カガヤンデオロを通ってさらに走って内陸に向かい、イリガンを抜けてようやくたどり着く。マラウィは湖畔の街だ。
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