人の尊さ・自由 若き将軍
人混みの中で、釈尊は背中に熱いものを感じました。立ち止まり、振り返ると、男の視線にぶつかりました。男は会釈し、人をかき分けながら近づいてきました。
続きを読む
この連載の記事一覧
仏教では、煩悩(ぼんのう)中でも貪欲(とんよく)、瞋恚(しんに)、愚痴(ぐち)の三つを最も克服すべきものとして「三毒(さんどく)」といいます。
続きを読む
この連載の記事一覧
人の尊さ・平等 村長の息子
土手の斜面に、二人の少年が寝そべっていました。十三、四歳で、身につけている衣服と装飾品から裕福な家の子弟であることが分かりました。
続きを読む
この連載の記事一覧
生と死とIV 我も病み、老い朽ちたり
熱いものが、頰を伝わり落ちました。こらえても、まぶたを押さえても、涙はあふれ出ました。アーナンダ(阿難)は、壁に頭を押しつけたまま、顔を上げることができませんでした。床に涙の染みができていました。おえつを押し殺そうとして、アーナンダはせき込みました。
続きを読む
この連載の記事一覧
生と死とIII 悲しみは胸に秘めよ
火柱が天に噴き上がりました。高く積まれた香木の上に安置された遺骸も、一瞬にして炎に包まれました。見守っていた人々は息をのみ、時間が凍りついてしまったようでした。時折、響く木の爆(は)ぜる音が、周囲の空気を震わせました。師匠の体を焼き尽くす炎を、チュンダは黙って見つめていました。
続きを読む
この連載の記事一覧
生と死とII 闇は人の心も閉ざす
闇がかすかに震えたようでした。人を呼び求める気配が、深い静寂を通し、肌に触れてきたのです。釈尊は立ち上がり、自坊を出ると足早に歩き出しました。
続きを読む
この連載の記事一覧