ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(9.冷え症) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)
体全体を見てみると、毛細血管は手足の爪の付け根部分に多くみられます。このことで、指先は体温調節の大切な役割を担っていることが分かります。
先ほどご説明したように、大切な部位を守るために手足が冷えることもあります。冷えるからといって、やたらと手や足の先を温めすぎてしまうと、逆に熱が体にこもってしまうこともあるので、注意してください。
では、「冷え症」の対策です。
まず、水分をあまり取れていないと血液がドロドロになり、血流循環が悪化し、血行障害が発生するので、こまめな水分補給が必要になります。
次に、手先や足先ではなく、“首元”も含め、“手首”や“足首”が冷えないように温かくします。そうすることで、指先の毛細血管内により多くの血液が流れるようになり、末端の冷えを改善することができます。
また、足先の冷えについては、以前、「ふくらはぎのつり」でもご説明したように、ふくらはぎが張って硬くなってくると血液を押し上げる“ポンプ作用”が低下し、血行障害が起き、足のむくみにつながります。ふくらはぎを柔らかくしておくことは、足のつり防止だけでなく「冷え症」の改善にもなるのです。
以上に加え、指先にテーピングをすると、皮膚を持ち上げ、毛細血管内の血流がスムーズになります。これで「冷え性」はさらに改善されます。
今回は自分で貼れる簡単な手と足の指先のキネシオテーピングを紹介します。テーピングを行うことで指先の温かさを体感できると思いますので、ぜひ試してみてください。
次回は“寝違え”についてお話しします。
プロフィル
かせ・つよし 1968年、東京生まれ。獨協大学外国語学部英語学科、自然カイロプラクティック学院、米国ニューメキシコ大学アスレチックトレーナー学科、日本医学柔整鍼灸専門学校をそれぞれ卒業。現在、キネシオ接骨院(http://kinesio-sekotsu.com/)院長として患者の治療にあたるほか、キネシオテーピング療法の普及に尽くす。母校である佼成学園高校アメフット部「ロータス」のヘッドトレーナーとして、2016年からの同チーム全国大会3連覇に貢献した。著書に『キネシオテーピング・アスレチックテーピング併用テクニック』(スキージャーナル)、『勝つための最強体幹力メソッド 』(創藝社)。