ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(8.膝の痛み・下) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)

「体幹を鍛えることで当たり負けない体をつくる」をモットーに、佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」の全国大会3連覇に貢献したスポーツトレーナー加瀬剛氏。日頃は、接骨院の院長として、一般の人々のケアにも当たっている。体の構造を知り、毎日をしなやかに過ごすにはどうすればいいか――体の専門家としてアドバイスする。(※ケアの方法を動画で紹介)

膝の痛み・下

膝の痛みはさまざまな原因で起こります。

階段を下りる時に発症する膝の痛みは、“膝のねじれ”が原因で起こることが多い、と前回説明させて頂きました(膝の痛み・上)。膝がねじれることで、膝窩筋(しつかきん)をはじめ、関節、靭帯(じんたい)、半月板などに負荷が掛かり、痛みや腫れが強く出ることがあるからです。

膝の痛みで苦しんでいる人にとって、階段はとても嫌なものです。それも、上りよりも下りの方が膝に負担が掛かりますから、駅などでは上りのエスカレーターよりも下りのエスカレーターがあった方が助かるのです。

さて、今回は階段を“上る時”に発症する膝の痛みについてですが、「痛い」という感覚よりも、「足が重い」「足を上げる時に力が入らない」といった感覚をお持ちの方が多いのではないでしょうか。痛みを感じる方は、下りる時と同様に膝のねじれが原因です。「重い」や「力が入らない」などの感覚を持つ方は、膝まわりの筋力低下が起因しています。

階段を上る、という動作は、自分の体を上に移動させる動きなので、通常よりも「力(筋力)」が必要になります。

普通に立っている時、膝に掛かる力を1とすると、平地を歩く時に膝に掛かる力は2です。そして階段を上るとなると、3~5の力が膝に掛かるといわれています。階段を上るには、より多くの筋力が必要なのです。

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