ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(12.最終回) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)

「体幹を鍛えることで当たり負けない体をつくる」をモットーに、佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」の全国大会3連覇に貢献したスポーツトレーナー加瀬剛氏。日頃は、整骨院の院長として、多く人のケアに当たっている。体の構造を知り、毎日をしなやかに過ごすにはどうすればいいか――体の専門家としてアドバイスする。(※ケアの方法を動画で紹介)

筋肉は伸ばさずに“縮める”

過去11回にわたって健康に関する記事を連載してきました。

世の中には健康について間違った情報がたくさんあり、ストレッチについても同じことが言えます。

連載を通して何度もお伝えしてきましたが、筋肉の働きは“縮む”ことがメインで、“より伸びること”はできません。これが真実です。

伸ばす、もしくは長時間同じ姿勢でいることで筋肉は壊れ、痛みを伴って硬くなってしまいます。さらに、その硬くなった筋肉を縮めようとすると、痛みが生じます。

これが腰痛をはじめ、肩こりや膝など痛みの原因です。

ですから、「筋肉が硬い」「こっている」「張りがある」などの症状がある時や自覚した際に、多くの人は、その部位のストレッチ(伸ばすこと)をしがちですが、すると、ますます症状が悪化してしまいます。何度も言いますが、「筋肉は、無理に、過度に、伸ばさない」――これを守ってください。

意外な方も悩んでいます

ここで、ストレッチと聞くと、そのポーズから“ヨガ”を思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、体を整えるというイメージから意外に思われるかもしれませんが、私のところに多くのヨガのインストラクターさんが治療に訪れます。体がとても柔らかい人たちなのに、あちらこちらが痛いと真剣に悩んでいるのです。

職業柄、ご自身の技術向上のために毎日一生懸命ストレッチを行い、ヨガ教室でも生徒さんを指導しつつ、一緒にストレッチをします。そのため、筋肉が必要以上に伸ばされている状態になってしまっているのです。

インストラクターさんたちは、確かに体が柔らかいのですが、それは毎日の運動(ヨガ)により、“関節の可動域が広がっている”ためです。よって、可動域が広いがために筋肉は伸び切ってしまい、うまく縮めることができずに腰痛や肩こりに悩まされることが多いのです。

しかしながら、生徒さんたちに腰痛や肩こりにはストレッチが良い、と伝えていることもあり、本人が腰痛や肩こりで悩んでいるとは口が裂けても言えないそうです(笑)。

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