カルチャー

バチカンから見た世界(40) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

ムスリム排斥を祈る人々の“壁”――ポーランド国境

10月7日は、1571年にギリシャのコリント湾口のレパント沖で、ローマ教皇ピウス五世、スペイン(フェリペ二世)、ベネチア共和国のキリスト教国の連合艦隊が、イスラームのオスマン帝国海軍を打ち破った「レパントの海戦」の戦勝記念日とされている。今年の10月7日、ポーランドでは、約100万人のカトリック信徒たちが全長3500キロにわたる国境線に集結し、ムスリム(イスラーム教徒)の移民を排斥する、祈りの一大集会を実施した。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(39) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

国際ステーションのクルーと対話する教皇

地上から約400キロ上空の軌道を秒速10キロで旋回する国際宇宙ステーション(ISS)。現在、米国(3人)、ロシア(2人)とイタリア(1人)の6人の宇宙飛行士が、第53回のミッションを遂行している。

続きを読む

この連載の記事一覧

ミンダナオに吹く風(9) 「演習」という名の「実戦」 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

ミンダナオで繰り返されてきた戦争に関しては、日本ではほとんど報道されなかった。理由は分からないが、毎年2カ月間、ミンダナオ子ども図書館の活動報告会で日本を訪れても、現地で起こっていることを知っている人はほとんどいなかった。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(38) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

世界に吹く核の逆風と教皇、そして、日本

イタリアの日刊紙やメディアに情報を配信する「ANSA」通信は10月12日、米テレビ局「NBC」が流したニュースを引用しながら、「7月の軍事サミット会議(国防総省での安全保障会議)で、トランプ大統領が核兵器の数を(現在の)10倍に増やしたい」と発言したと報じた。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(37) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

核兵器に対し、連帯の倫理を――ローマ教皇

「平和、安全、安定への希求は、人間の心の奥底から湧き出る願望である。なぜなら、その願望が、人類を一つの家族として創造した神に由来するからだ」。ローマ教皇フランシスコはそう説く。こうした人間の希求が、軍事力によって叶えられることはなく、「ましてや、核兵器や大量破壊兵器によって満たされることは絶対にない」と訴えている。

続きを読む

この連載の記事一覧

気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(8) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

共に暮らす、友と暮らす――ライトハウスの仲間たち

夫婦で大学講師を辞めて、瞑想(めいそう)修行場&農場である“ライトハウス”に移住して2年が経つ。息子も3歳半になり、元気に村の幼稚園へ通っている。「養鶏場の鶏ではなく、自由に成長する森のニワトリになりたい」。そう話す夫と共に、ここにやってきた。以前に比べ、現金収入は微々たるものになった。だが、野菜を作り、自給のオフグリッド発電や手作りの家を手掛ける――夫は、今では真っ黒な顔をしたニワトリになりつつある。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(36) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

“ヒバクシャ”の声に耳を傾けよ――ローマ教皇

「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」にあたる9月26日、ローマ教皇フランシスコは「この死の道具を廃絶していくために、核不拡散条約(NPT)を機能させ、核兵器のない世界に向けて取り組んでいきましょう」とツイートした。教皇のアカウントは、9カ国語(イタリア語、スペイン語、英語、ポルトガル語、ポーランド語、ラテン語、フランス語、ドイツ語、アラビア語)で展開されており、全世界で約3700万人(8月2日現在)がフォローしている。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(35) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

米国の「政治」と「宗教」の結び付き――最終考

ローマ教皇フランシスコは、「支配する、あるいは戦うといった政治権力に対して、神学的なよりどころを提供することはない」。カトリック・イエズス会の機関誌「チビルタ・カトリカ」はそう記す。

続きを読む

この連載の記事一覧

ミンダナオに吹く風(8) 「くり返しくり返し」争いは続く 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

戦争で山や湿原から逃げてきた人々は、町の近くの国道や市道沿いのわずかな空き地や道端に、切ってきた木の枝を柱にして避難小屋を作っていた。ヤシの葉を編んだものを葺(ふ)いて、床には同じようなヤシの葉を編んだものや、ヤシの葉そのものをそのまま敷いていた。

続きを読む

この連載の記事一覧

バチカンから見た世界(34) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

相対する二つのエキュメニズム

イエズス会の機関誌「チビルタ・カトリカ」が、米国のキリスト教原理主義を特徴付けるマニケイズム(善悪二元論)について分析したことを伝えた。同誌は、さらにもう一つの特徴として「繁栄の神学」を挙げる。マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を基盤とするピューリタニズム(清教徒主義)から、強き宗教、社会、政治的影響力を行使し、メディアの世界で活躍する富豪の牧師や宗教団体によって説かれる「繁栄の福音」へと変貌した原理主義だ。「神は、信徒たちが身体的に健康で、物質的に富み、個人的に幸福であることを望まれる」と説く。

続きを読む

この連載の記事一覧