カルチャー

バチカンから見た世界(56) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

欧州のポピュリズムとキリスト教

ハンガリー議会(一院制、定数199)の選挙が4月8日に行われ、オルバン首相が率いる与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が圧勝した。

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バチカンから見た世界(55) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

イタリアの「同盟」、フランスの「国民戦線」、米国のトランプ政権と自国至上主義

「生活困窮者に対する生活保障金(市民所得)の給付」「不法移民の大量追放」「反欧州連合(EU)」という三つの公約を掲げて選挙戦を展開し、3月4日のイタリア総選挙で圧勝した「五つ星運動」と「同盟」。4月6日現在、マッタレッラ大統領を調停役とし、各政党による組閣交渉が大統領府で行われているが、「五つ星」と「同盟」の協力による連立内閣誕生の可能性が強くなってきた。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(14) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

イキイキの源泉――思いがけない生き物との出会い

東北タイ・ナコンラチャーシーマー県の自然に囲まれた、ここライトハウスを訪れる日本人にタイの印象を聞くと、必ず出てくるワードがある。それは「犬」だ。「タイには犬がいっぱいいるんですね!」と、驚いた表情で話題にされる。

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バチカンから見た世界(54) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

イタリアの総選挙で圧勝したポピュリズム政党

3月4日に投開票が行われたイタリアの総選挙で、大衆の願望や不安を利用して扇動する“ポピュリズム政党”とされる「五つ星運動」と「同盟」(旧称「北部同盟」)が圧勝した。

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バチカンから見た世界(53) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

フランシスコという名の力、教皇選出から5周年

3月13日は、ローマ教皇フランシスコが選出されて5周年の記念日だった。2013年のこの日、教皇ベネディクト十六世による600年ぶりの生前退位という劇的な状況の中で執り行われたコンクラーベ(枢機卿の互選による教皇選挙会議)で選ばれた。最初のアメリカ大陸出身の教皇であり、8世紀のグレゴリウス三世(シリア出身)以来となる欧州以外からの教皇であり、イエズス会が輩出した最初の教皇の誕生だった。

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ミンダナオに吹く風(14) グラウンド・ゼロの少女 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

グラウンド・ゼロの少女

フィリピン・マラウィ市にほど近い、ドームの下につくられた避難民キャンプ。屋根はあるものの、コンクリートの床の上にシートで区切られた家族の居場所は、イリガン市のキャンプに比べると格段に小さい。3畳ぐらいのスペースに親子が6人で寝ていたりする。しかし、それでも子どもたちは中から飛び出してきて、みんなで一緒に遊んだり、掃除や料理を手伝ったりしている。そんな子どもたちの様子を見ながら、案内してくださっている福祉局の職員の方がこう言った。

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バチカンから見た世界(52) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

女性差別に抗議するカトリックのシスターたち

ローマ教皇フランシスコは、社会が発展しているにもかかわらず、男性優位のメンタリティーが今なお存続し、女性に対する暴力は収まることがないとの憂慮の念をたびたび表してきた。広告や娯楽業界では、女性が享楽的な対象物として扱われるなど、「女性の虐待が存在し、人身売買の被害や経済的利益の犠牲を被っている」との考えも示している。

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気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(13) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

行としての翻訳――法を伝える楽しさ

翻訳家。これが今の私の肩書である。正確には「タイ仏教翻訳家、通訳」と自己紹介している。肩書というのは仮なるものだけれど、この世で生きていくのに必要なもの。3年前に大学教員の職を辞してから、この肩書を使うようになった。

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バチカンから見た世界(51) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

核軍縮と廃絶のみが核の抑止力――バチカン

米国のトランプ政権は2月2日、今後の核政策の指針となる核戦略見直し(NPR)を発表した。潜水艦から発射される弾道ミサイル(SLBM)に搭載される小型核兵器や、水上艦、潜水艦から発射できる新型の核巡航ミサイルの開発を骨子とするものだ。外国からの通常兵器による攻撃に対しても核兵器で反撃することを排除しない方針も打ち出した。

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ミンダナオに吹く風(13) マラウィ市近郊の避難民キャンプを目指して 写真・文 松居友(ミンダナオ子ども図書館代表)

マラウィ市近郊の避難民キャンプを目指して

フィリピン・ミンダナオのマラウィ市は、空爆も含む徹底的な戦闘で街全体が破壊しつくされており、見るも無残な様相だ。去年の10月に戦争終結宣言が出されたこともあり、家が破壊から免れた、近郊の市町村からの避難民たちに限って、10カ月ぶりに帰郷が許されはじめていた。避難民の表情にも、安堵(あんど)感が広がっていきつつあるのが感じられた。

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