現代を見つめて
現代を見つめて(29) 被災地に情報を 文・石井光太(作家)
被災地に情報を
北海道胆振(いぶり)東部地震が起きた日、偶然にも私は札幌のホテルに滞在していた。深夜三時八分、突如大きな振動に襲われた。ホテルはきしみながら揺れ、私は振り落とされまいとベッドにしがみつくので精一杯だった。ようやく揺れが収まったと思うと、停電によって北海道全域は闇に閉ざされた。
現代を見つめて(27) 汚された「聖域」 文・石井光太(作家)
汚された「聖域」
日大のアメリカンフットボール部で起きた事件が、世の中を騒がせた。試合とは関係のないところで、日大の選手が相手チームの選手にタックルをしかけて怪我(けが)を負わせたのである。日大の選手は、監督とコーチからの指示があったとした。だが、後日、監督とコーチは記者会見を開き、「つぶせ」という発言は認めたものの、「負傷させろという意味ではなかった」「選手の勘違いであり、自分たちに責任はない」と主張した。