カルチャー

バチカンから見た世界(121) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

キリスト教徒間の戦争ではなく“姉妹なる諸教会と兄弟なる諸国民”

第二バチカン公会議(1962~65年)後、世界のキリスト教一致に向けた先駆者は、ローマ教皇パウロ六世とコンスタンティノープル(現トルコ・イスタンブール)エキュメニカル総主教のアテナゴラス一世だった。二人のキリスト教指導者、特に、アテナゴラス一世が強く主張したモットーは、「姉妹なる諸教会、兄弟なる諸国民」だった。この標語が、ロシアによるウクライナ侵攻と、ロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教による侵攻の宗教的正当化で、預言(神の意志を人々に伝える言葉)としての意味合いを帯びてきた。

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バチカンから見た世界(120) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

文明の衝突をあおるロシアの政権と正教会

ウクライナの首都キーウ(キエフ)のビタリ・クリチコ市長はこのほど、「世界の霊的指導者たちが、彼らの道徳的役割を果たすための立場を明確にし、諸宗教の平和に対する責任を、誇りを持って遂行してほしい」と呼びかけた。これを受け、世界の諸宗教指導者で構成される使節団が5月23日から26日までキーウを訪問し、同国に対するロシア軍の侵攻と爆撃の早期終結と、和平を模索していくことを願い、祈りを捧げた。バチカンの公式ニュースサイト「バチカンニュース」が26日に報じた。

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内藤麻里子の文芸観察(32)

男たちの世界を描くのに、女の視点や登場人物を配置して新しい風を吹かせた小説が期せずして最近、相次いで刊行された。今回はいつもと趣向を変え、その3作を紹介しよう。

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バチカンから見た世界(119) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

世界に対峙の構造を生むウクライナ戦争

ローマ教皇フランシスコは4月2、3の両日、地中海中央部のマルタを訪れた。2日の到着後、政府関係者や同国の外交団に向かい、『マルタ島に吹く四方位からの風』と題してスピーチした。

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バチカンから見た世界(118) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

アフリカで胎動するWCRP/RfPのモーリシャス諸宗教評議会

モーリシャスはインド洋に浮かぶ島国だが、アフリカ諸国に分類される。宗教的にはヒンドゥー教徒が国民の半数を占め、キリスト教、イスラーム、仏教などと続く多宗教の国だ。

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バチカンから見た世界(117) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

後退する民主主義に教皇が警鐘

キプロス島訪問を終えたローマ教皇フランシスコは12月4日にギリシャの首都アテネに到着した。大統領府でカテリナ・サケラロプル大統領、キリアコス・ミツォタキス首相と懇談した後、政府関係者、市民社会の代表者、外交団らと面会した席上、スピーチを行った。

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バチカンから見た世界(116) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

貧者の希望を組織化しよう――教皇と世界人民運動

11月14日は、カトリック教会が定める「世界貧者の日」だ。ローマ教皇フランシスコが制定し、施行されている。今年で第5回を迎えた。

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バチカンから見た世界(115) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

民主主義と政治の根源的意味を問いかける――貧者たちの連帯と運動

「誰一人取り残さない」――国連の持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる理念だ。果たして各国の政治はその方向に進んでいるだろうか。

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バチカンから見た世界(114) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

地球と民の悲鳴に耳を傾けよ――キリスト教の3指導者が歴史的アピール

10月4日は、アッシジの聖フランシスコ(1182-1226)の祝日にあたる。

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バチカンから見た世界(113) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

宗教を利用したテロが再燃することを懸念――G20諸宗教フォーラムが開催

20カ国・地域首脳会議(G20)の議長国を務めるイタリアのドラギ首相は9月2日、記者会見の席上、イスラーム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタン情勢について協議するG20の特別会合を開催する意向を表明した。時期は、現在行われている国連総会終了後の10月を予定している。

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