絵画でめぐる四季 ~山口暁子の世界~ 8月

『使者』

この絵は、マハトマ・ガンディーが獄中から弟子へ書き送った手紙の一節『われわれはみな一生涯、生命の借り手であり、〔それゆえに〕永久に世界に仕える義務(つとめ)があります』――から発想を得て描いたものです。自分の命は自分のものという考え方を揺さぶられ、衝撃を受けたのを覚えています。その謙虚な生命観にはきっとすべての生き物が含まれているであろうという解釈のもと、小さな者たちの言葉を超えた関わりを絵にしました。

*引用『ガンディー 獄中からの手紙』森本達雄訳(岩波文庫)

 

プロフィル

やまぐち・あきこ 1974年、東京都生まれ。97年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。卒業制作でサロン・ド・プランタン賞受賞。99年、同大学院美術研究科絵画科日本画専攻修了。修了制作で紫峰賞受賞。絹に描くという現代の日本画では希少な技法を使って制作を続けている。