心の悠遠――現代社会と瞑想(14) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

坐禅会イベントでの清水寺の大西師。各色紙に記した言葉や句の意味を、参加者一人ひとりに説明しながら手渡した(写真=筆者提供)

ニューヨークでの坐禅会イベント

昨年8月17日と18日の2日間、米・ニューヨーク市のマンハッタンで坐禅会イベントを開催した。初日の開催場所はニューヨーク禅堂正法寺(33名参加)。ここは、ニューヨーク州北部の町キャッツキルにある大菩薩禅堂の姉妹道場である。

大菩薩禅堂は、白隠禅師が開山した静岡県三島市にある龍澤寺の第十世住職・中川宋淵老師(1907―1984)によって開かれた禅堂だ。宋淵老師は大菩薩禅堂と正法寺を中心に、アメリカで禅の布教に努められた。

2日目の開催場所は、京都の生麩の老舗「麩嘉」が経営するニューヨークの大人気日本料理店、精進料理「嘉日Kajitsu」(19名参加)。双方の開催場所とも、現在、私が毎月一回の坐禅会を開かせて頂いている場所だが、ただそれだけではなく、私にとって縁が大変深い場所でもある。

私の師父・松原哲明和尚は、龍澤寺修行時代に宋淵老師と、後継者である鈴木宗忠老師に師事した。それ故、師である宋淵老師は父にとって特別な存在であった。宋淵老師は俳人・飯田蛇笏(だこつ)に師事した。その老師から父は俳諧も学んだのだった。

一方、麩嘉さんは、私の実家である東京・龍源寺の檀家(だんか)関係にご縁を頂いている。その上で改めて、以前から格別のご厚意を頂いていた京都の清水寺の大西英玄和尚さまより、麩嘉さんとお引き合わせを頂いた。さらにご縁がつながっていた京都の「一保堂茶舗」さんと、同じく京都の「鍵善良房」さんのご高配とご協力を頂き、一昨年10月に私のニューヨークでの「嘉日坐禅会」(嘉日・一保堂共催)が始まったのである。

この夏の坐禅会イベントは、その大西和尚を迎えての記念すべき共催イベントとなった。麩嘉と嘉日のオーナーである小堀周一郎氏は、最後のあいさつの席で「全てのご縁がつながって、今回の坐禅会イベントが実現したことを偶然と思うことはできません」とおっしゃった。まさにその通りである。巡りに巡ったご縁が一つの坐禅会という目に見える形で現れた。

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