寄稿(連載)

『心の悠遠――現代社会と瞑想』(4) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

法華経と白隠の「生きた遺産」

日本臨済宗中興の祖として知られる白隠慧鶴禅師(1686-1769)は、一昨年、250年遠忌を迎えた。今日、日本に伝わる「臨済禅」の法系は全て白隠下になるから、現在の「臨済禅」は文字通り「白隠禅」と言ってよい。その白隠が42歳のある晩、法華経の「譬諭(ひゆ)品」にまで読み進んだ時、ちょうど、コオロギの鳴く声を聞いて、豁然(かつぜん)として、最終的に大悟したといわれる。その声を聞いて白隠は初めて法華経の深意を悟ったという。そのことを『白隠禅師年譜』は次のように記している。

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『現代を見つめて』(38) 医療からの孤立 文・石井光太(作家)

医療からの孤立

川崎市の登戸駅の近くで、私立カリタス小学校の児童をはじめ二十人が男性に包丁で刺されて死傷する事件が起きた。男性は長らく社会と接点を持っておらず、孤立する中で複雑な問題を抱えて凶行に及んだのだろう。

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『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(28) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

令和初の国政選挙で大事なこと

令和時代が始まって、まもなく初の国政選挙を迎える。私たちは、新時代にふさわしい政治をつくっていくことができるだろうか。

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おもかげを探して どんど晴れ(16) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

東日本大震災を振り返って(2)――震災から1カ月~数カ月

前回は災害発生の初期段階について書きました。今回は、発生後1カ月から数カ月の段階で、被災地で必要だった物や私が出会ったある少女について紹介します。

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『心の悠遠――現代社会と瞑想』(3) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

マインドフルネスと禅

ここ数年の間で日本でもよく耳にするようになった「マインドフルネス」は、仏教から宗教色が排除されたアメリカ発祥の瞑想(めいそう)法などとも紹介され、逆輸入のような形で日本にもブームをもたらした。

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『現代を見つめて』(37) コンビニへの眼差し 文・石井光太(作家)

コンビニへの眼差し

コンビニエンスストアの二十四時間営業をめぐる本部(本社)とフランチャイズ店オーナーとの対立が引き金になり、セブン‐イレブンの社長が交代するまでの事態に発展した。

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『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(27) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

令和の意味とその理想を実現する道

今月になって、新しい年号の考案者と目されていた国文学者の中西進氏が「文藝春秋」に寄稿して、事実上それを認め、令和を「『麗しき平和をもつ日本』という意味だ」と解説し、「麗しく品格を持ち、価値をおのずから万国に認められる日本になってほしいという願いが込められている」と述べたという(朝日新聞5月10日付)。そうしてみると、政権の思惑を超えて人々がこの年号を用いるために先月に私が書いた「令和」の意味は、考案者の思いそのものだったということになる。

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おもかげを探して どんど晴れ(15) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

東日本大震災を振り返って(1)――震災発生から数日

ここ数年は毎年、全国各地で災害が発生しています。

「自分は大丈夫だと思っていた」。各地で被災された、知り合いの方から連絡を受けると、みんながそう話します。そして、そうした体験をされた方は、災害に対して意識を高く持つことの大切さを語り合う日が、増えていくものです。

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『心の悠遠――現代社会と瞑想』(2) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

純粋な人間性が、心の奥底に

米・コーネル大学でアジア研究学の修士号、ならびに宗教学の博士号を取得後、私は、カリフォルニア大学バークレー校仏教学研究所やスタンフォード大学HO仏教学研究所、セント・メリーズ・カレッジで教壇に立ちながら、定期的にこれらの大学やシリコンバレーのGoogle本社、ヴァージン・アメリカ本社で「禅マインドフルネス」と名付けて坐禅会や茶道体験セミナーを開いてきた。

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『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(26) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

「令和」という新年号

「令和」という新年号が発表された。「昭和」に続いて「和」が用いられた。「平成」の「平」と合わせると、「平和」となる。「昭和」時代には世界大戦が起こったし、第24回で述べたように、「平成」の時代は「平和に成る」という願いとは逆に混乱や紛争が世界で起こってしまった。「令和」の時代には、今度こそ平和が実現してほしいものだ。

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