利害を超えて現代と向き合う

利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(51) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

社会的不幸の中で生き延びる鍵

因果律(どのような事象も全て何らかの原因の結果として生じるという考え方、法則)を基に、一人ひとりの「個人的因果」と集合的な「政治的因果」を考えることができる。後者による結果が、“社会的な不幸”となって現れ、今月に入ってこれまで以上にそれが明らかになってきているのが今の日本の状況だ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(50) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

因果は眩ませない

禅の公案に「不落因果」という言葉が出てくる(『無門関』第二則「百丈野狐」)。ある僧が修行者から、長年修行を重ねた人でも因果律(あらゆる現象は何らかの原因から生じた結果であるという法則)にとらわれるのかと問われ、大悟した人は「不落因果(因果律の制約を受けない)」と答えたところ、その答えが誤りであったために、僧は長期間にわたって野狐(やこ)に身を堕(お)とされてしまう。その後、「不昧因果(ふまいいんが・因果律を眩=くら=ませることはできない)」と喝破した百丈禅師の言葉を聞いて大悟するという逸話である。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(49) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

悪因悪果と善因善果

東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で緊急事態宣言が3月21日をもって解除された。しかし喜ぶわけにはいかない。実際には、二度も期間延長したにもかかわらず、ここにきて新型コロナウイルスの新規感染者数は東京都などで増加に転じているからだ。緊急事態宣言と言っても実質的な施策が不十分であることをこの連載で指摘してきたが、残念ながら懸念した通りになってしまった。変異株が拡大し始めているので、本来ならば緊急事態宣言が解除できなくなってしまったことを認めて、その内容の大幅な拡充強化を改めて宣言しなければならないところだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(48) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

無為無策の結果

政府が1月7日に二度目となる緊急事態宣言を発令した時、菅首相は「1カ月での事態改善に全力を尽くす」と述べたが、感染は収束せずに宣言は延長された。しかし、国民の驚きは少ない印象だった。前政権時代から当局者が「瀬戸際の状況」(安倍首相、2020年3月28日)とか「勝負の3週間」(西村経済再生担当相、2020年11月25日)などと言っても、「勝負」に負けることが繰り返され、多くの人々が慣れっこになってしまったようだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(47) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

新年における「暗」――緊急事態宣言と連邦議会占拠という日米の非常事態

新年の連載初回にあたって、明暗を述べることにしよう。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(46) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

「鬼滅」世界と現実

先月は、「半沢直樹」や「鬼滅の刃」といった架空の作品世界に没入して楽しみつつ論じた(第45回)が、現実に目を戻すと、陰惨な光景が浮かび上がる。目に見える鬼がいるわけではないものの、「鬼」の気配が感じられるのだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(45) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

いま話題の大ヒット作品:「半沢直樹」と「鬼滅の刃」

最近、大ヒット作が立て続けに生まれている。テレビでは2013年に大反響を呼んだ「半沢直樹」が今年の7月19日から9月27日まで放送され、最終回は視聴率32.7%と2013年最終回以来の高い数字で、総合視聴率(リアルタイムとタイムシフトの視聴率の合計)は44.1%という。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(44) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

暗雲立ち込める政治

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して入院し、陰性にならないうちに退院して選挙活動を再開した。イギリス首相、ブラジル大統領と同じように、コロナ問題を軽視した国家指導者たちは、次々と自らも感染し、感染者数の増大により経済が停滞して、手痛い失敗をしている。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(43) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

「天は私たちを見捨て給わず」か?

安倍首相が病気を理由として8月28日に辞任を表明し、奇(く)しくも新型コロナウイルスの第2波が少し和らいできた。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(42) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

国家が機能停止して迎えるお盆

お盆を迎えた。死者に思いを馳(は)せる時である。通常の年ならば都会の人々が実家に帰省して、なかなか会えない家族・親族と顔を合わせ、墓参して先祖を供養する。

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