普門の精神を受け継ぐ 庭野開祖の願い

「法輪」と「富士」、その二つの緞帳(どんちょう)が下ろされ、普門館は11月19日、48年の歴史に幕を閉じた。普門館の解体工事が始まり、いよいよ別れの時を迎える。建物は形を失っても、そこに込められた精神や願いを未来に引き継いでいくことが、多くの人を育んだ普門館への感謝につながる――。昭和45年4月28日の落成式をはじめとした一連の行事での庭野日敬開祖(当時・会長)のあいさつから、普門館建立に込めた願いを振り返る。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(22) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

明治からの公共的政治の系譜

前回に述べたように、公議・公論・公道という公共的政治の理念は、幕末に生まれて「五箇条の御誓文」にも現れ、明治憲法下における議会政治として限定的ながら実現した。専制政府との抗争を経て政党が台頭し、1924-32年には、衆議院の多数党が内閣を組織する「憲政の常道」として、立憲政友会と立憲民政党との二大政党による政権交代が行われるようになったのだ。

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TKWO――音楽とともにある人生♪ コントラバス・前田芳彰さん Vol.3

東京フィルハーモニー交響楽団(東フィル)でプロの演奏家として歩み出した前田芳彰さんは、オーストリア・ウィーンへの留学を経て、フリーでの活動を決意した。最終回となる今回は、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)との出合い、そして、自らの演奏に懸ける思いについて聞いた。

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「時代」の声を伝えて――文学がとらえた80年(24)番外編8 文・黒古一夫(文芸評論家)

ユートピアを求めて(8)――「沈黙」の先に現れてくるものは……

この連載の2回目に、2011年3月11日の東日本大震災後に起こった「フクシマ」(東京電力福島第一原子力発電所の事故とその被害)に触発されて書かれたディストピア(反ユートピア)小説の代表として、北野慶の『亡国記』(2015年)を取り上げた。

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