寄稿(連載)
共生へ――現代に伝える神道のこころ(9) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部准教授)
工匠の技により築き上げられた「文化共存の姿」を後世に継承し
やや旧聞に属するが、令和三(二〇二一)年二月十三日付の「毎日新聞」朝刊に、岡山県岡山市北区にある国宝・吉備津神社拝殿や県指定文化財の廻廊(かいろう)に傷を付けた男性が、文化財保護法違反の疑いで逮捕されたとの報道があった。平成二十七(二〇一五)年にも十六府県四十八カ所の社寺の楼門(ろうもん)や柱、賽銭箱(さいせんばこ)などにお清めと称して油をまいた行為により、日本国籍を持つ米国在住の医師の男性が建造物損壊容疑で逮捕されたことがあった。社寺のように古くから人々に信仰され、我が国の伝統文化を継承するものとして大切にされてきた伝統的建造物を損壊、汚損する行為は決して許されるものではない。
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元気な子供の声が聞こえてくる 鎮守の森・神社での「人間教育」
埼玉県越谷市越ヶ谷に大国主命(おおくにぬしのみこと)、言代主命(ことしろぬしのみこと)を主祭神としてお祀(まつ)りする久伊豆(ひさいず)神社という古社がある。創建時期は不詳とされるが、平安中期以降から旧武蔵北部を中心に、武士や庶民の信仰を集めてきた社(やしろ)である。境内の片隅には「平田篤胤仮寓跡(ひらたあつたねかぐうあと)」と呼ばれる旧跡や篤胤奉納の大絵馬があることで知られ、国学者の平田篤胤とも由縁の深い社でもある。現・越谷市の中核となった旧・四丁野村、越ケ谷宿、大沢町、瓦曽根(かわらぞね)町、神明下村、谷中村、花田村の七カ所の鎮守の社として知られている。加えて八方除(はっぽうよけ)、除災招福の霊験あらたかな神社として有名で、祈願のために関東一円のみならず、遠方から参詣する崇敬者も多い。
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