バチカンから見た世界(144) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

3宗教間の融和なくして中東和平は実現できない(3)―イスラエルのユダヤ人国家宣言―

バチカンは、中東紛争の「唯一可能な解決策としての2国家原則」を主張し、すでにパレスチナを国家として承認している。主要7カ国(G7)も11月8日、東京での外相会議で、「イスラエルとパレスチナが共存する『2民族2国家解決策』が平和につながる唯一の道だという立場を共有した」(8日現在、共同通信社=47NEWS)。

続きを読む

「クリスマスはパレスチナ紛争の犠牲者に哀悼を――ヨルダンのキリスト教指導者」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

クリスマスはパレスチナ紛争の犠牲者に哀悼を――ヨルダンのキリスト教指導者

ヨルダンの「キリスト教指導者評議会」は11月2日、「ガザ地区とパレスチナ全土で亡くなった無実の人々の犠牲と流血に対する哀悼を表明」するため、現在のパレスチナ自治区ベツレヘムで生まれたキリストの降誕祭(クリスマス)に際する全ての祝賀行事を中止し、祈りと教会行事に限定するよう信徒たちに呼びかけた。

続きを読む

「教皇がCOP28に参加」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

教皇がCOP28に参加

ローマ教皇フランシスコは11月1日、イタリア国営テレビ(RAI)が放映したインタビュー番組の中で、「12月1日から3日までアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、『第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議』(COP28)に参加する意向」を表明していた。バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は3日、「教皇は、UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領から招待を受け、COP28に参加するため1日から3日までドバイを訪問する」と正式に公表した。

続きを読む

教皇とバイデン米大統領が中東情勢を巡り電話で会談(海外通信・バチカン支局)

バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は10月23日、ローマ教皇フランシスコが22日午後にバイデン米大統領と20分間の電話会談を行ったと明かした。内容は、「世界の紛争状況と平和に向けた道程を模索する必要性」とだけ公表した。一方、ホワイトハウスが同日に発表した「リードアウト」(声明文)によると、同大統領と教皇は、「イスラエルとガザ(パレスチナ自治区)における最新の展開」について話し合ったとのこと。

続きを読む

大船教会発足70周年記念式典 記念セレモニーを全地区で開催 対話通し喜びかみしめる

会員一人ひとりに「大切にされている」という実感を持ってもらいたい。その願いのもと、立正佼成会大船教会は今年4月から半年間、全63地区がそれぞれ主催する教会発足70周年記念セレモニーを教会道場で開催してきた。内容は、読経供養のほか、フラダンスの披露、合唱、ミニ説法などさまざま。当日に参加できない会員のインタビュー動画を上映した地区もあり、工夫を凝らした取り組みが展開された。

続きを読む

ガザ地区で攻撃される宗教施設(海外通信・バチカン支局)

イスラーム過激派組織ハマスが実効支配し、イスラエル軍による空爆が続くパレスチナ領ガザ地区で10月17日、英国国教会(中東聖公会)の運営する「アル・アハリ病院」が攻撃を受け、500人とも推定(18日現在)される死者が出た。犠牲者の多くはパレスチナ人で、約6000人が病院前の広場に避難していた。

続きを読む

「『COP28』に向けて世界の諸宗教指導者による『良心の合流点会議』開催」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

「COP28」に向けて世界の諸宗教指導者による「良心の合流点会議」開催

「第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議」(COP28)が11月30日から12月12日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで予定されている。同会議の議長に任命されているUAEのスルタン・アル・ジャーベル産業・先端技術相は10月11日、バチカンを訪問し、ローマ教皇フランシスコと懇談した。UAEの国営通信社「WAM」は同日、教皇とアル・ジャーベル大臣が「COP28の議題を進展させるための、諸宗教が持つ決定的な役割」について話し合ったと伝えた。

続きを読む

バチカンから見た世界(141) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

バチカンのやまない核兵器廃絶アピール

9月26日は、国連が定める「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」だった。ローマ教皇フランシスコは同日、9カ国語で発信される自身のX(旧ツイッター)アカウントを通し、「核兵器の保有は非倫理」であるとの確信を再表明するメッセージを投稿。教皇ヨハネ二十三世が公布した歴史的な平和回勅『地上の平和』(1963年)を引用しながら、「予測できない出来事が、(核兵器の)軍事態勢を始動させることも除外できない」と警告した。そして、核兵器禁止条約(TPNW)の批准国を増やすことで、「この『死の道具』を廃絶し、核兵器のない世界を構築するために努力していこう」とアピールした。

続きを読む

バチカンのウクライナ和平案に関するわずかな見解の変化(海外通信・バチカン支局)

バチカンは以前、ウクライナのゼレンスキー政権から、「ロシアによるウクライナ侵攻という事実の前で、(バチカンの維持してきた)中立という立場は存在しない」「誰が侵略者で、誰が防衛者なのかを明確にしない」「なぜバチカンはロシアを名指しで非難しないのか」「唯一の和平案はウクライナ政府の主張するものであり、人道支援を除いてバチカンの和平調停を必要としていない」といった批判を受けてきた。

続きを読む

中国との関係改善を目指すバチカン外交(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコは8月31日から9月4日まで、モンゴルを訪問した。その機中、中国の領空通過時に、習近平国家主席宛てにメッセージを送信。「モンゴルに向かう途上、貴国の領空を通過する機会に、貴殿と中国国民に対して善意のあいさつを送ります。中国国家の福祉のために私の祈りを約束しながら、あなたたちの上に一致と平和の神の祝福がありますようにと願っております」との内容だった。

続きを読む