平和こそ生活の原点 日本国憲法Q&A(5)――日本国憲法の平和主義は特別な考え方?

第二次世界大戦終戦直後の1947年、日本国憲法は施行されました。憲法は「法の中の法」「決まりの中の決まり」ともいわれるもので、私たち一人ひとりの自由や権利を守り、その人生や生活を支えています。

憲法とはどのようなものなのか、日本国憲法はいのちの尊さ、平和、信仰といったことをどのように考えているのか、どうして憲法の改正には国民投票が必要なのか――。憲法についていろいろ議論が起きている中、私たちはこうしたことをしっかりと学んでおく必要があります。本連載の第5回は、現行憲法によって日本が平和主義を掲げる意義を考えます。

Q5 日本国憲法の平和主義は特別な考えですか?

戦争は、私たちに何の利益ももたらしません。武器は命を奪うことはあっても、生命を育むことはありません。それぞれの人間が自分らしく生き、たくさんの人々と喜びを分かち合うことができる世界であるために、また人と自然との調和が保たれた地球であるためには、平和が何よりも大切です。

この原点に立つとき、日本国憲法の定める平和主義は特別な考えではなく、いまだに戦争を止めることのできない人類にあって、誇りにすべき精神と理念であるはずです。

19世紀まで、戦争は国と国との対立や紛争を解決する手段として当然のように行われていました。そこには強い者、強い国が正しいという考え方がありました。

残念なことですが、こうした考えの先には、第一次・第二次世界大戦が待っていました。これら大きな軍事力を持つ国家グループ同士の戦争によって、それまでとは比べものにならない多くの命が奪われてしまったのです。そこで、ようやく「戦争は悪いものである」との考えが広まり、「戦争を禁止」する国際的な決まりがつくられるようになったのです。

戦争を間違った行為として、国際的な条約で禁止してきたこれまでの流れを「戦争の違法化」と言います。第二次世界大戦直後に国際連合が生まれましたが、その憲法ともいうべき「国連憲章」では、国と国との紛争は平和的な手段で解決するよう求めています。

平和主義を掲げる日本国憲法は、この国際的な「戦争の違法化」の流れにあり、「武力を持たず、二度と戦争をしない」と宣言した日本国憲法は国連憲章よりもさらに進んだものと言えます。

日本は第二次世界大戦ですべてを失いました。多くの国民が命を落とし、家族を失い、主な都市は焼け野原となって、国全体が経済的に立ち行かないほどの状況になりました。

そうした中で、軍事力を持たないということは経済的な面から考えても現実的で、合理的な国の歩みだったといわれています。まして、「二度と戦争は起こしたくない」と大半の国民が考え、そしてアジアをはじめ世界の多くの国から日本に厳しい目が注がれる中で、平和主義を唱える憲法を持つことは意味の大きいことでした。

その後の産業と貿易による国の繁栄は、平和主義を基盤としたからこそもたらされたものであり、このことは衆目の一致するところと言っていいでしょう。

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