「『ＣＯＰ２８』に向けて世界の諸宗教指導者による『良心の合流点会議』開催」など海外の宗教ニュース（海外通信・バチカン支局）
「ＣＯＰ２８」に向けて世界の諸宗教指導者による「良心の合流点会議」開催
「第２８回国連気候変動枠組み条約締約国会議」（ＣＯＰ２８）が１１月３０日から１２月１２日にかけて、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）のドバイで予定されている。同会議の議長に任命されているＵＡＥのスルタン・アル・ジャーベル産業・先端技術相は１０月１１日、バチカンを訪問し、ローマ教皇フランシスコと懇談した。ＵＡＥの国営通信社「ＷＡＭ」は同日、教皇とアル・ジャーベル大臣が「ＣＯＰ２８の議題を進展させるための、諸宗教が持つ決定的な役割」について話し合ったと伝えた。
同通信社によれば、ＣＯＰ２８の議長府は、バチカン、ムスリム長老評議会、国連環境計画（ＵＮＥＰ）と協力しながら、会議の準備をはじめ、討議までのプロセスに諸宗教組織を参画させる包括的な政策を目標としているとのことだ。目標実現に向け、議長府はＣＯＰ２８の開催中に世界の諸宗教によるイニシアチブを企画しているとも明かした。
世界の諸宗教によるイニシアチブの中核となるのが、１１月６、７の両日にアブダビで開催される「良心の合流点会議」と呼ばれる国際会議だ。「数百人の諸宗教指導者、学者、科学者が一堂に会し、パリ協定（ＣＯＰ２１／２０１５年）の実施状況を確認するとともに、合意された目標を達成するための集合的な成果を評価しながら、各国の貢献をパリ協定の包括的な目標と結び付け、気候変動への野心を高める（Global Stocktake／ＧＳＴ）」ことを模索し、ＣＯＰ２８への提言文を採択することが目的。「良心の合流点会議」では、「気候変動に関する諸宗教指導者の責任や、ＣＯＰ２８とそれ以降へ向けての野心に富んだ決意」、「ＣＯＰ２１からＣＯＰ２８の間における諸宗教者による活動の評価」についても討議される。
また、ＣＯＰ２８開催中には、これまでの会議の歴史の中でも初と評される「信仰パビリオン」が開設される。同パビリオンでは、諸宗教指導者、科学者、政治指導者などによるパネルディスカッションや、青年宗教指導者、先住民の代表者を巻き込んだ世代間対話を奨励するためのイニシアチブが展開される予定だ。
教皇は、アッシジの聖フランシスコの祝日にあたる１０月４日、ローマ教皇フランシスコが２０１５年に公布した環境回勅「ラウダート・シ」を、さらに具体的に実践していくための使徒勧告書簡「ラウダーテ・デウム」を公表した。アブダビでの「良心の合流点会議」では、教皇の使徒勧告書簡「ラウダーテ・デウム」と、諸宗教指導者からのＣＯＰ２８への提言内容を対比させながら、諸宗教指導者による環境問題への対処を強めるイニシアチブも企画されている。
