5月の一食啓発月間を前に 本会一食平和基金 新「中期方針」と令和6年度「運営計画」発表

ミャンマーでは政情不安が続き、食料不足が深刻化している。国連世界食糧計画(国連WFP)が学校給食事業の一環として、同国北部にあるカイヤイ村の小学校で昼食に温かい食事を提供。児童の健康と教育機会の維持に寄与している(©WFP/Nok Tun)

「一食(いちじき)を捧げる運動」(一食運動)の啓発月間(5月)を前に、立正佼成会一食平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)はこのほど、同基金の運営に関する「中期方針」(2024~29年)と、「一食運動」の「中期推進計画」(24~26年)を発表した。また、「中期方針」に基づく令和6(24)年度の運営計画として、総額2億434万6000円の支援予算を計上。「教育・人材育成」など全8分野に及ぶ国内外の平和・社会活動に充てられる。(「一食運動」の「中期推進計画」、「ドリーム・ギフト」、齊藤委員長の談話などは、後日詳報)

一食平和基金の新たな「中期方針」 テーマと重点課題を策定

一食平和基金は、生きとし生けるもの全てが大いなる一つのいのちに生かされているという「一乗精神」に基づく共生世界の実現を目指し、会員が食事を抜いた費用を献金する「一食運動」の浄財によって運営されている。世界中で政治的な対立や紛争が起き、不寛容や格差が社会に広がる中、同基金は、貧困の撲滅など諸課題の解決に向けて、国内外のNGOや行政機関、宗教者などと連携して支援活動に努めてきた。

近年、米国や中国をはじめとする多くの国々が自国優先の経済政策を推進したことなどから国家間の関係が悪化。この間に勃発した東南アジアや東欧、中東での紛争も影響して国際情勢がさらに不安定化し、世界の分断傾向はより一層強まっている。

こうした人道危機による食料の生産や流通の停滞などを要因として、世界的に物価が高騰し、貧困問題の深刻化につながっている。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)報告2023:特別版』によると、極度の貧困下で暮らす世界の人々は増加しており、現在の傾向が続くと、2030年までに5億7500万人が極度の貧困に陥り、8400万人の子どもと若者が教育の機会を失う懸念があるという。

これを受け、同運営委では、全てが関係し合っているという「諸法無我」の教えの観点から、「中期方針」のテーマを「分断を越える“つながり”を築く」に設定。人々が我欲を捨て、因習を改めて支え合うとともに、弱い立場の人々が孤立しないよう支援し、誰一人取り残さない世界を実現したいとの願いを込めた。

さらに、教育機会の提供によって、子どもたちが学校で知識や技能を身につけて安定した仕事に就き、家族や地域を支えられるよう支援。貧困の連鎖を断ち切り、あらゆる人々が未来に希望を持てる社会を創出するため、「教育・人材育成を軸とした貧困の解消」を重点課題とした。これらを踏まえ、同運営委では支援事業の在り方などを検討。合同事業の見直しを進め、より現地のニーズに即した支援となるよう取り組むことを決定した。

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