平和こそ生活の原点 日本国憲法Q&A(8)――「政教分離の原則」はなぜ必要?

信教の自由を保障するには――国家と宗教の関係

1977年、「津市地鎮祭訴訟」判決で最高裁判所は、「国家と宗教との完全な分離を理想」としつつも、宗教は社会のさまざまな側面に接しており、文化財の保護や刑務所での教誨(きょうかい)活動などを挙げて、「国家と宗教との完全な分離を実現することは、事実上不可能に近い」と述べています。これに加えて、最高裁では、国家や公的機関による行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助や助長、圧迫や干渉にあたるものになれば、憲法の「政教分離の原則」に抵触することになるという見解も示されました。

そこで問題となるのは、国家と宗教、とりわけ国家と宗教団体との関わりをどのように関係づけておくかということです。

本来、宗教も政治も、人々の幸せや社会の安寧を願うという点では、同じ目的を持っています。一方、政治のあらゆる権力は国家が独占しており、国民生活は、政治の善し悪しによって大きく左右されるのも事実です。

宗教の目的が、個人の救いはもとより、社会の救済や国家の安寧、世界の平和を願うものである以上、宗教者や宗教団体が政治に関心を持ち、政治への取り組みを進めていくことはむしろ当然だといえます。

しかし、その関わり方には、おのずから「政教分離の原則」を守る姿勢が求められます。宗教の側が教えを政治の力で実現しようとし、政治の側が宗教の影響力を利用しようとするとき、そこには、信教の自由を破壊する「政教一致」の危険が生まれるのです。

現憲法の「政教分離の原則」は、「信教の自由」を保障するために不可欠です。と同時に、すべての人の基本的人権を尊重していくという自覚に立って、私たち一人ひとりが守っていかなければならないものであることも忘れてはなりません。