平和こそ生活の原点 日本国憲法Q&A(11)―― 憲法が「国民のもの」といわれる真の意味は?

平和こそ生活の原点 日本国憲法Q&A(11)―― 憲法が「国民のもの」といわれる真の意味は?

第二次世界大戦終戦後の1947年、日本国憲法は施行されました。憲法は「法の中の法」「決まりの中の決まり」ともいわれるもので、私たち一人ひとりの自由や権利を守り、その人生や生活を支えています。

憲法とはどのようなものなのか、日本国憲法はいのちの尊さ、平和、信仰といったことをどのように考えているのか、どうして憲法の改正には国民投票が必要なのか――。憲法についてさまざまな議論が起きている中、私たちはこうしたことをしっかりと学んでおく必要があります。最終回となる今回は、憲法の役割を改めて確認するとともに、憲法について知ることがいかに重要であるかを考えます。

Q11 憲法は「私たち国民一人ひとりのもの」といわれます。その真の意味は何でしょうか?

憲法は、他の法律とは大きく性格が異なっています。例えば刑法という法律は、何が犯罪であり、それに対する刑罰が何であるかを規定したもので、国家(政府)が国民に対して行ってはならないことを定めたもの、ということができます。このように国会がつくる法律は、すべて、「国家が国民を相手として」何かを定めるものといえます。これに対して、憲法だけは、その方向が逆になっています。憲法は、「国民が国家(政府)を相手として」、国家が行ってよいこと、行ってはならないこと、さらには、行うべきことを定めた「決まりの中の決まり」なのです。

ですから、国民から政治を任された議員や政治家や公務員は、憲法を尊重し、憲法に従って政治や行政を進めていかなければならないのです。日本国憲法は、次のように定めています。

「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」(99条)

ここに、「国民」が含まれていないことに注意してください。この憲法は、「国民が国家(政府)を相手として」定めたものですから、それを尊重し擁護する義務を負うのは、国民ではなく、公務員なのです。この憲法を尊重し、擁護する義務の中には、もちろん、憲法に違反する法律をつくってはならない、ということが含まれます。国会議員が多数決で定めた法律であっても、それが憲法に違反するときには、裁判所によって違憲と判断されるという仕組みがあるのは、このためです。

では、現在の憲法では許されていないことを、どうしても政府や国会が推進したいという場合、どうすればよいのでしょうか? この時、憲法改正が必要となります。ここで大切なのは、国会の多数決だけでは憲法を改正することはできない、ということです。憲法は「国民が国家(政府)を相手として」定めたものですから、国家(政府)が勝手にこれを改正するのは、決して許されないことなのです。

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