平和こそ生活の原点 日本国憲法Q&A(10)――憲法改正とは、どのような営み?

第二次世界大戦終戦後の1947年、日本国憲法は施行されました。憲法は「法の中の法」「決まりの中の決まり」ともいわれるもので、私たち一人ひとりの自由や権利を守り、その人生や生活を支えています。

憲法とはどのようなものなのか、日本国憲法はいのちの尊さ、平和、信仰といったことをどのように考えているのか、どうして憲法の改正には国民投票が必要なのか――。憲法についてさまざまな議論が起きている中、私たちはこうしたことをしっかりと学んでおく必要があります。今回は、私たちの暮らしと密接に関わる法律と憲法の関係について。その上で、「憲法改正」の手続きがなぜ厳格に定められているのかを説明します。

Q10 憲法改正とはどのような営みですか?

日本国憲法は、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条1項)と定めています。つまり、憲法と国会が定めた法律が矛盾している場合、憲法が優先され、法律の効力が否定されることになります。

ここで問題となるのが、「誰が」その判定をするかです。日本国憲法では、その役割を裁判所、とりわけ最高裁判所に任せています(76条・81条)。これは、なぜでしょうか?

そもそも、国会議員は「憲法違反の法律を作ろう」と思って法律を制定するわけではありません。国会議員も、憲法を読み、さまざまなことを考えて、これに違反しないように法律を制定するのですが、そこで問題となるのは、国会議員というのは、実際のところ、選挙で選ばれた多数派を代表する人々であるということです。つまり、少数派の人々の考え方や権利、とりわけ人権保障が十分ではないということが生じる可能性があるのです。そこで憲法は、裁判所という多数決ではなく、議論によって判断をする機関に憲法解釈を任せることにして、多数決による民主主義と少数意見や人権保障のバランスを確保することにしたのです。

実は、憲法改正というのは、この仕組みに対する例外です。つまり、現在の憲法の定めでは不可能なこと、裁判所から憲法違反と言われることであっても、憲法の文言の方を改めて実現するという営み、それこそが憲法改正なのです。ですから、これには普通の法律制定に必要な単純多数(衆参両議院の本会議で、出席議員の過半数の賛成で可決)では足りず、より厳重な民主的意思決定が必要となります。日本国憲法は、憲法改正のための要件として、両議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成による憲法改正の発議と、発議された案に対する国民投票(18歳以上の国民が有権者)での過半数の賛成を定めていますが、それは単なる手続きではなく、このような理由に基づく重要な制度なのです。

私たち国民は、この国民投票で自らの意見を示すことができますが、それは、普通の選挙とは違うものです。普通の選挙で問われているのは、現行憲法を前提として政治を行う代表者の選出です。これに対して、憲法改正国民投票で問われているのは、その憲法自体を変えるということなのです。

もちろん、日常的な政治の営みに関心を持つことは大変重要ですが、先のような特別な意味のある憲法改正における国民投票に対しては、なお一層の関心を寄せることが求められていると言えるでしょう。