利害を超えて現代と向き合う

利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(71) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

個人の努力の限界を超えたコロナ感染

コロナ第8波は猛威を振るい、日本はまさに世界でもっとも感染状況の悪い国の一つとなってしまった。個人的にも、私自身も含め身近な人々が次々と感染してしまい、仕事でもあちこちでその経験を聞くに至った。この連載でも、また授業や公共的な場でも、私は感染への警戒と自粛を呼びかけ、近時は政治的・社会的に緊張感が緩んでいるので、自制を続けるように注意を喚起してきた。それだけに自分でも細心の注意を払ってきたのだが、感染拡大の勢いが周囲でもあまりにも激しく、回避できなかった。ここまでくると、個人の努力の限界を超えていると言わざるを得ない。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(70) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

寿げない新年

今年ほど、「あけましておめでとうございます」と言って新春を寿(ことほ)ぎたいと思ったことはない。なぜなら、当然に思っていたその祝辞を素直に言うことができないからだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(69) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

政治的混乱

安倍晋三元首相の国葬が終わってからも、政治の混乱が続いている。政権の支持は続落し、相次いで三人の閣僚が辞任した。一人目の経済再生担当大臣はカルト的宗教との密接な関係が露呈した。二人目の法務大臣は、死刑という人の生死の与奪の権を握っているにもかかわらず、生命の重みに対する識見のなさが指弾された。三人目の総務大臣は、政治資金を所轄する責任者であるにもかかわらず、自らの政治資金問題が次々と露呈した。これらに見られるのは、政治的汚濁そのものだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(68) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

統一的管理システムと全体主義

安倍晋三氏の国葬が終わった。各種世論調査では評価しない人の方が多く、岸田内閣支持率はさらに下落を続けている。やはり、安倍氏関連の人々の「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」が始まっているようだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(67) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

盛者の「国葬」

「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛(たけ)き者も遂(つい)にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵におなじ」(『平家物語』第一巻)

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(66) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

旧統一教会による政界汚染:元首相銃撃事件と内閣改造

前回(第65回)に書いたように、参議院選挙で与党が大勝した結果はすぐに表れてきた。新型コロナウイルスの感染状況が世界最多となり、各地で医療崩壊が起きつつある。にもかかわらず、政府は何もしない。無為無策そのものだ。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(65) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

歴史的な銃撃事件と選挙がもたらした大変動

7月8日に安倍晋三元首相が奈良市で銃撃されて死亡し、その2日後に参議院選挙が行われて、与党が大勝した。この双方の事件は、今後の日本に歴史的な変化を引き起こすかもしれない。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(64) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

日本の命運がかかる参議院選挙

7月に参議院選挙が予定されている。メディアの報道量が少なく、まだ意識していない人が多いようだが、この選挙には日本の運命がかかっている。昨年の衆議院選挙に比して野党間の協力が弱体化していて与党の勝利が予想されており、衆議院に続き、参議院の3分の2以上を改憲に前向きな政党が占める可能性が大きい。首相が4年間衆議院を解散しなければ、今後3年間は国政選挙がないかもしれない。そうなった場合、この間に戦後日本の平和主義的な理念や方針がなくなり、日本は戦争を行う国家へと変わっていくことを覚悟しておかなければならないだろう。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(63) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

イスラームとの「文明の衝突」

ウクライナでの戦いは、なお続いている。ロシアは首都キーウ(キエフ)の攻略に失敗したが、東部ドンバス地方と南部の支配へと目標を下方修正して、戦争は長期化の様相を見せている。注目されていた戦勝記念日(5月9日)の演説で、プーチン大統領は侵攻を正当化した。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(62) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

春爛漫

桜が咲いて新学期が始まる季節になった。小学校の新入生はランドセルを初めて背負い、胸を膨らませて新しい校舎に通い始める。もっと年上の生徒たちも、気分を一新して新学年に臨むだろう。

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