バチカンから見た世界
バチカンから見た世界(84) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
実践のプロセスへ 具体化する“人類友愛のための文書”
「人類の友愛に関する文書」に記された精神を世界に広く伝え、その実現を果たすために創設された「人類の友愛高等委員会」。9月11日にバチカンにあるローマ教皇フランシスコの居所「聖マルタの家」で開かれた第1回会合で教皇は、高等委員会を「友愛の手職人」と評し、委員会が「手を差し伸べるだけでなく、心をも開放する、新しい取り組みの始まり」になるようにと願った。
バチカンから見た世界(83) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
「人類の友愛に関する文書」実現のため高等委員会設置
「人類の友愛高等委員会」の初めての会合が9月11日午前8時半から、バチカンにあるローマ教皇居所の聖マルタの家で開催された。この高等委員会とは、教皇フランシスコとイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長が今年2月にアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで署名した「人類の友愛に関する文書」の精神を世界に広く伝え、その実現を果たすためのもの。UAEの提案によって設立された。
バチカンから見た世界(82) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
対立と分断が広がる世界に示す「人類の友愛」(1)
本稿をつづっていた7月15日、立正佼成会は、文化間、宗教間の対話に取り組む「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)を支持する声明をウェブサイトで発表した。同声明文は、「本年6月以来、サウジアラビアにおける人権問題に端を発し、オーストリア国内でのKAICIIDの地位が不安定な状態に置かれていることを私たちは憂慮しています」と記している。
バチカンから見た世界(81) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
イスラームの祝祭日に合わせ、人類の友愛を実践する諸宗教者
6月上旬にイスラームのラマダン(断食月)が終わり、世界のムスリム(イスラーム教徒)たちが「断食明けの祝祭日」(イド・アル・フィトル)を祝った。
バチカンから見た世界(80) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
紛争解決できない国際外交に人類の友愛を――バチカンとWCC
聖地(イスラエル、パレスチナ、ヨルダン)のカトリック司教たちはこのほど、「キリスト教諸教会と霊的指導者(諸宗教指導者)たちが平和への新しい道を示すように」と訴える声明文を発表した。
バチカンから見た世界(79) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
人類の友愛を説く教皇 ブルガリア、北マケドニア訪問
ローマ教皇フランシスコは5月5日から7日まで、ブルガリアと北マケドニアを訪問した。両国では、国民の大半は正教会を信仰し、他のキリスト教諸教会は、イスラームに次ぐ3番目の少数派で、総人口の1%にも満たない。
バチカンから見た世界(78) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
平和の鳩は飛ぶために翼を必要とする――アブダビでの教皇
2月3日、歴代教皇として初めて、イスラーム発祥の地であるアラビア半島の地を踏んだローマ教皇フランシスコ。その行く先は、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで行われた、「ムスリム長老評議会」が主催する「人類友愛のための国際会議」だった。この会議には、立正佼成会の庭野光祥次代会長を含む世界の諸宗教者ら700人が集った。
バチカンから見た世界(77) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
「平和を望み、促進し、その道具となるために集まった」に込められた教皇の決意
ローマ教皇フランシスコは2017年4月、エジプト・カイロにあるイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」でアハメド・タイエブ総長によって企画された「平和のための国際会議」に出席した。その席上、スピーチに立った教皇は、「暴力は全ての宗教性を否定するもの」であり、「利己主義を絶対化して『聖』を名乗る――その暴力の仮面をはがしていくように」と語った。
バチカンから見た世界(76) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
バチカンの多国間外交――人類に共通の起源と歴史、宿命
ローマ教皇ベネディクト十六世(現名誉教皇)は、3700万人にも及ぶ犠牲者を出し、人類史上で最悪の戦争となった第一次世界大戦を「無意味な虐殺」と呼んだ。その大量殺りくを繰り返すまいと誓った人類は、平和確立へ向けての多国間主義外交を推進していくために国際連盟を創設した。しかし、自国至上主義という同じ過ちを繰り返し、第二次世界大戦へと突入した。
バチカンから見た世界(75) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
歴史は繰り返すのか
年が明けると、バチカンではローマ教皇と同市国付きの各国外交団との間で、新年のあいさつが交わされ、教皇がスピーチの中で世界情勢について見解を述べることが恒例となっている。