バチカンから見た世界
バチカンから見た世界(78) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
平和の鳩は飛ぶために翼を必要とする――アブダビでの教皇
2月3日、歴代教皇として初めて、イスラーム発祥の地であるアラビア半島の地を踏んだローマ教皇フランシスコ。その行く先は、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで行われた、「ムスリム長老評議会」が主催する「人類友愛のための国際会議」だった。この会議には、立正佼成会の庭野光祥次代会長を含む世界の諸宗教者ら700人が集った。
バチカンから見た世界(77) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
「平和を望み、促進し、その道具となるために集まった」に込められた教皇の決意
ローマ教皇フランシスコは2017年4月、エジプト・カイロにあるイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」でアハメド・タイエブ総長によって企画された「平和のための国際会議」に出席した。その席上、スピーチに立った教皇は、「暴力は全ての宗教性を否定するもの」であり、「利己主義を絶対化して『聖』を名乗る――その暴力の仮面をはがしていくように」と語った。
バチカンから見た世界(76) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
バチカンの多国間外交――人類に共通の起源と歴史、宿命
ローマ教皇ベネディクト十六世(現名誉教皇)は、3700万人にも及ぶ犠牲者を出し、人類史上で最悪の戦争となった第一次世界大戦を「無意味な虐殺」と呼んだ。その大量殺りくを繰り返すまいと誓った人類は、平和確立へ向けての多国間主義外交を推進していくために国際連盟を創設した。しかし、自国至上主義という同じ過ちを繰り返し、第二次世界大戦へと突入した。
バチカンから見た世界(75) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
歴史は繰り返すのか
年が明けると、バチカンではローマ教皇と同市国付きの各国外交団との間で、新年のあいさつが交わされ、教皇がスピーチの中で世界情勢について見解を述べることが恒例となっている。
バチカンから見た世界(73) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
「自由市場は社会正義を基盤とせよ」――ローマ教皇
世界経済の金融への偏重ぶりを「崇拝」と非難し、人間の労働に尊厳性を与え、社会の共通善を追求する実体経済への回帰を訴えるローマ教皇フランシスコ。イタリアの経済紙「イル・ソーレ・24オーレ」(9月7日付)のインタビュー記事の中で教皇は、「人間の尊厳性を守って(生産)活動を展開し、共通善を追求していくことは、企業にとっても良いことになる」と主張した。
バチカンから見た世界(71) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
ポピュリズムの拡大と憎悪による犯罪の増加
バチカンの国連常駐代表を務めるベルナルディト・アウザ大司教はこのほど、ニューヨークの国連本部で行われた人種主義や人種差別、外国人への不寛容を考える会合において、「政治家たちが人々の恐怖を憎悪に向けて扇動しないように」と訴えた。
バチカンから見た世界(70) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
金正恩委員長からの招待状を待つローマ教皇
文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領が10月17、18の両日にバチカンを訪問した。これに先立つ15日、政権を支える与党・民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が、情報源を明らかにしないながらも、「来年の春にかけて、ローマ教皇フランシスコが北朝鮮訪問を希望しているとの話を聞いている」と発言していた。
バチカンから見た世界(69) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
金融が偶像となる時――経済のあり方に警鐘を鳴らすローマ教皇
イタリアでは3月の総選挙後、大衆の願望や不安を利用して扇動するポピュリズムの政権が誕生した。その中核を成すのは、政党「五つ星運動」だ。