心の悠遠――現代社会と瞑想

心の悠遠――現代社会と瞑想(16)最終回 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

歩くことで道は出来る

1999年10月、私のサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路(スペインの世界遺産、キリスト教の聖地)の旅は、マドリードの北東約400キロに位置するザビエル城から始まった。ここは日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの生誕地ならびに幼少時代の住居として知られる。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(15) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

一大事とは、今日只今の心なり

令和元年9月29日、立正佼成会川崎教会の発足60周年記念式典に参列させて頂き、『一大事とは、今日只(ただ)今の心なり』というテーマで話をさせて頂いた。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(14) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

ニューヨークでの坐禅会イベント

昨年8月17日と18日の2日間、米・ニューヨーク市のマンハッタンで坐禅会イベントを開催した。初日の開催場所はニューヨーク禅堂正法寺(33名参加)。ここは、ニューヨーク州北部の町キャッツキルにある大菩薩禅堂の姉妹道場である。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(13) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

フロストの「選ばれざる道」

私が好きな、アメリカの詩人ロバート・フロスト(1874―1963)の「選ばれざる道」という詩を紹介しましょう。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(12) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

毎日の生活がそのまま坐禅

私たち人間は、毎日の生活の中で怒り、恐れ、不安、焦り、憎しみ、嫉妬、悲しみといった感情に、常に振り回されている。このことが、単に駄目だというのではない。これは、われわれ人間が経験する当たり前のことであり、人間として生きている証しなのであるから、むしろ、これらをどうコントロールしていくかが大事になる。感情そのものが苦なのではない。その感情に執着してしまうことこそが、苦を生じさせるのである。苦の根源は「執着」と「欲求」だ。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(11) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

アメリカでの白隠禅

2016年11月19日と2018年10月20日に、アメリカ禅文化のメッカの一つであるサンフランシスコ禅センターで、講義と坐禅のワークショップをさせて頂いた。1962年に日本人の曹洞宗僧侶・鈴木俊隆師によって設立されて以来、サンフランシスコ禅センターは心の問題と向き合う人たちを受け入れてきた場所である。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(10) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

ゴータミー 芥子の実の話

ブッダのところに、ゴータミーという裕福な家の女性が訪ねて来た時の話です。幾つも奇跡を起こしてきたブッダであれば、自分の願いをかなえてくれるのではないかと彼女は考えていました。その願いとは、わずか1歳で亡くなってしまった子供を、何とかして生き返らせてほしいというものでした。いくらブッダでも、死んだ人間を生き返らせることなどできないのでは? しかし、ブッダはゴータミーにこんな指示を出したのです。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(9) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

死は命の流れの通過点

私の祖父、故・松原泰道は102歳で遷化するまで、「生涯現役、臨終定年」をモットーに一生を布教一本に貫き、毎日、全国を駆け巡っていた。祖父の遺詩に、「私が死ぬ今日の日は 私が彼土(ひど)でする説法の第一日です」というものがある。「彼土」とは、あの世のこと。「私が死ぬその日は、あの世での私の説法の初日だ」という意味である。実は、私が祖父から聞いた直接の遺言はこれと二文字異なっているものもある。それは、「私が死ぬ今日の日は 私が地獄でする説法の第一日です」というものだ。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(8) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

禅と知的文化交流

米・ニューヨーク州のコーネル大学の学生や教員ら22人が6月13日から24日まで、神奈川・鎌倉市の寺院や自坊の佛母寺(千葉・富津市)を巡る、「佛母寺・コーネル大学日本仏教実践授業講座」を開催した。毎年恒例の講座で、今年で4回目となる。自然の中で行う作務や坐禅など僧堂体験を通じて、「仏教と私たちを取り巻く社会・環境問題」について学ぶためのものだ。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(7) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

米国学生の心を打つ禅

5月17日から30日までの14日間、米国ジョージア州立大学の学生10人を率いて、神奈川県の鎌倉にある円覚寺などの4カ寺と千葉県の富津にある自坊・佛母寺で、異文化相互理解を促進するプロジェクトを行った。

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