ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(8.膝の痛み・下) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)

毎回お話ししていますが、筋肉は伸ばされることで筋力が低下していきます。ストレッチ以外にも長時間のデスクワークや座位姿勢で大腿四頭筋や大臀筋は伸ばされます。伸ばされたことで筋力が低下しているわけですから、歩き始め、特に階段をすぐに上ろうとすると、膝に力が入りにくかったり、痛みを感じたりするのです。

また、大腿四頭筋や大臀筋の筋力が低下すると、階段を上る時に「重心が不安定だ」と感じます。すると安定させようと踏ん張るために膝が内側に入り、膝にねじれが生じます(ニー・イン)。これは前回の「膝の痛み・上」でも紹介したように、痛みを引き起こす原因にもつながります。

この状態は女性や高齢者に起こりやすいのですが、筋力の低下や、それによって膝が内側に入っているという原因には気づかない人が多いようです。

では、大腿四頭筋と大臀筋を鍛えるためのエクササイズと、大腿四頭筋を補助するキネシオテーピングを動画でご覧ください。

ここで、筋肉の特徴について一つ紹介したいことがあります。

筋肉の活動量は季節によって異なり、夏よりも冬の方が低下します。

暖かい季節での筋肉の活動量を100とします。この100のうち、半分の50は人間が生きていくために必要な、心臓や内臓などを動かす筋肉の活動量になります。寒い季節では筋肉の活動量は80くらいになります。電力に例えれば“省エネモード”になるわけです。しかしながら、50は必要不可欠な活動量なので、暖かい季節と比べると残りは30しかないことになります。

よって、暖かい時と寒い時で同じ運動をすると、暖かい時は何も感じなかった運動が、寒い時ではつらく感じます。これは、筋肉に負荷が多く掛かるためなのですが、このため、寒い時の運動の方が筋力が早くつきやすいのです。

これから寒くなってきますが、筋力をつけるにはとても良い季節となります。無理をせずに楽しんで体力をつけていきましょう!

次回は“冷え性”についてお話しします。

プロフィル

かせ・つよし 1968年、東京生まれ。獨協大学外国語学部英語学科、自然カイロプラクティック学院、米国ニューメキシコ大学アスレチックトレーナー学科、日本医学柔整鍼灸専門学校をそれぞれ卒業。現在、キネシオ接骨院(http://kinesio-sekotsu.com/)院長として患者の治療にあたるほか、キネシオテーピング療法の普及に尽くす。母校である佼成学園高校アメフット部「ロータス」のヘッドトレーナーとして、2016年からの同チーム全国大会3連覇に貢献した。著書に『キネシオテーピング・アスレチックテーピング併用テクニック』(スキージャーナル)、『勝つための最強体幹力メソッド 』(創藝社)。