ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(7.膝の痛み・上) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)

骨盤や足首を健康に保つために、ここで大切な筋肉となるのがインナーマッスルの一つである中臀筋(ちゅうでんきん)です。この筋肉は体のバランスをサポートしてくれます。

この筋肉が弱くなってくると、さまざまな影響が出ます。例えば左足の中臀筋が弱くなると、左側に体重が移動し、バランスが崩れます。そして、その崩れを補正するために足先を外側に広げるようになり、ひどい場合はガニ股になっていきます。ガニ股とは骨盤が開いている状態で、O脚の原因にもなります。

膝のねじれが起こってしまうと、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半腱半膜様筋(はんけんはんまくようきん)、縫工筋(ほうこうきん)、内転筋(ないてんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、膝窩筋(しつかきん)などのさまざまな筋肉にもねじれが起こってしまいますが、その中で一番ねじれやすい筋肉が膝窩筋です。

膝を冷やしたり、治療することで痛みは軽減しますが、動き出すとまた痛みが出てきます。膝の痛みに対応するのではなく、痛みの原因を取り除かなければ、一時的に症状が軽減してもまた痛みが出てきます。

ちなみに、階段を上る時は、つま先を最初に階段に乗せることができるため、膝は階段の方向に対して真っすぐに折り曲げることが可能です。よって、膝のねじれが発生せず、痛みが起こりにくいのです。

しかし、階段を下りる時は階段の幅にもよりますが、通常、最初にかかとを中心に体重を乗せますので、つま先は階段に乗らないことが多いですよね。そのため、つま先を外側に向けてバランスを取ろうとします。すると、つま先が外を向いた状態でも、膝は真っすぐ正面に曲がろうとするため、別の言い方をすれば、進行方向に力が入るため、膝にねじれが発生し、さらにここに体重も乗るため、強い痛みが出やすいのです。階段を下りる時に、意識してつま先と膝を同じ方向に向かせるようにして下りると痛みは軽減します。

また、横向きに下りたり、後ろ向きで下りると痛みが楽になるのですが、これも膝がねじれないからなのです。前回お話しした坐骨神経痛と同じく、足を組んだり、あぐらをかくことも骨盤が開きやすくなる原因になるので、膝が痛い場合は気をつけてください。

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