気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(47) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)

善きことを継続する――やる気も怠け心も「症状」として

2021年がスタートした。年が改まると自然と新鮮な気持ちになる。昨年は、新型コロナウイルスの世界規模での流行という試練が訪れ、今年もその影響が続くと予想される。しかし、たとえ厳しい状況の中にあっても、悲観的にならず、この一年を心安らかに過ごしたいと前向きに願うことも、新年を迎える意義だと言えよう。

新年の始めには抱負を述べたり、新たな誓いを立てたり、これまでなかなか始められなかったことに挑戦したりする。小さなことでも、これまで続けられなかったことを続けることは難しい。三日坊主という言葉もあるように、最初はやる気があっても、ついつい怠け心が出て、いつの間にか続けられなくなっている。こうした苦い体験は、私だけではないだろう。

私たち家族が住むこの「ウィリヤダンマ・アシュラム」では、お坊さまたちが淡々と修行を続けている。日々の読経、托鉢(たくはつ)、瞑想(めいそう)などの修行は、体と心を鍛え、身を整えるのに大切な実践である。ただ、彼らの表情は意外なほど穏やかなのだ。「お坊さんだからやらなければいけない!」と眉間にしわを寄せている様子は微塵(みじん)もない。軽やかに、なすべきことを継続して行うその姿を見て、素朴な疑問が湧いてきた。果たして彼らは、怠けたくなったり、修行に飽きたりしないのだろうか? と。

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