気づきを楽しむ――タイの大地で深呼吸(28) 写真・文 浦崎雅代(翻訳家)
疲れない、疲れさせない旅の秘訣――旅も人生も軽やかに
先月に引き続き今回も、ゴールデンウイーク中に行ったタイのお坊さまの来日ツアーについて記したいと思う。森の寺スカトー寺、および瞑想(めいそう)修行場「ウィリヤダンマ・アシュラム」で修行を続けられているスティサート師とサンティポン師。お坊さまお二人を含む総勢10人の旅だ。自主企画で、私は旅の計画から、関係者との打ち合わせ、ガイド、通訳、レンタカーの運転手までの全てを担い、10日間フル稼働だった。やらなければならないことばかりの旅。しかし、私が常に感じていたのは「なんて疲れない旅なんだろう!」ということだった。これまで私は、何度も旅を企画したり、旅の要請に応じて受け入れたりしてきたが、今回ほど、忙しいのに楽な旅はなかった。
なぜこんなに疲れないのだろうか? 振り返ってみると、やはり、一緒に旅をする方の姿勢が大きく、良い影響を受けていたのだと思う。旅を案内する者にとって、ゲストが喜んでくれるような場所や活動を選ぶことは、結構気を使うものだ。ご飯はどんなものがいいか、どこで食べるか、どこで休むか、などもそうだ。さらに今回は、お坊さまが一緒である。タイのお坊さまたちには戒律があって、午後からは固形物を召し上がることができないので、午前中にお昼ご飯を済まさなければならない。そうした制限の中で、いかに旅を有意義にしていくか。それは私にとってのチャレンジだった。