新・仏典物語――釈尊の弟子たち(4)

さあ、行け! 汝がめざすスナーパランタへ

釈尊が祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)に滞在していたときのことです。

弟子の一人であるプンナ(富楼那)が訪ねてきました。プンナはスナーパランタという地方で教えを広めることを決意し、釈尊に別れを告げるために来たのでした。

釈尊はプンナへ最後の教えを説いた後に、こう問い掛けました。

「プンナよ、スナーパランタの人々は気性が激しく荒々しいといわれている。もし、かの地の人々に辱められ罵(ののし)られたら、おまえはどうするのか?」

「世尊よ、辱められ罵られたら私はこう思うことにいたしましょう。〈スナーパランタの人々は賢くて、とてもよい人たちだ。私を罵っても、石を投げつけることはしなかった〉と」

「プンナよ、彼らが石を投げつけてきたらどうするつもりか?」

「そのときは、こう思うことにいたしましょう。〈石を投げつけられても、彼らは刀で切りつけたり、棒で殴りかかってきたりはしなかった〉と」

「もし、彼らが刀や棒で危害を加えてきたらどうするつもりか?」

「刀で切りつけられ棒で殴られても、彼らは私を殺しはしなかったと思うことにいたしましょう」

「では、殺されたならば……?」

「世尊よ、私が殺されたならば、こう思うことにいたしましょう。〈かのスナーパランタの人々は賢くて、とてもよい人たちだ。朽ち果てた私の身体と生命を奪い、解脱させてくれた〉と」

「よろしい、プンナよ。おまえはよく耐え忍ぶ心を身につけた。そのような覚悟であるならば、スナーパランタでの布教にも耐えることができるであろう」

そして、釈尊はこう続けました。

「さあ、行け、プンナよ、スナーパランタへ。多くの人に如来の道を説き、そして人々を安らかで平和な境地に導くために」
(『雑阿含経』より)

※本シリーズでは、人名や地名は一般的に知られている表記を使用するため、パーリ語とサンスクリット語を併用しています