幸せのヒントがここに――仏典の中の女性たち(1) 文・画 天野和公(みんなの寺副住職)

そうそう、ミャンマーといえば『ビルマの竪琴(たてごと)』を連想される方も多いのではないでしょうか。ミャンマーは仏教の盛んな国ですが、日本に伝えられている仏教とは流れを異にします。

仏教には大きく二つの潮流があります。一つは大乗仏教。インドから北回りで伝えられたため、北伝仏教とも呼ばれます。日本のほか、主にチベット、中国、韓国、ベトナム、台湾で信仰されてきました。もう一つは上座部(南伝)仏教。ミャンマーのほか、スリランカ、タイ、ラオス、カンボジアなどで信仰されています。国民の8割以上がこの上座部仏教徒であるミャンマーでは、輝く黄金色の仏塔がそびえ、緋色の袈裟(けさ)をまとった僧侶が托鉢(たくはつ)している光景がそこかしこで見られます。ちなみに上座部の戒律では、僧侶が音楽を奏でることは禁じられています。竪琴を持っている僧侶には会えませんのであしからず……。

上座部仏教の経典には、お釈迦さまが活躍された時代のエピソードが活き活きと描かれています。僧侶だけでなく、王妃様から奴隷の少女に至るまで、さまざまな女性たちが登場します。2500年前のインドの女性と、現代日本に暮らす女性ではライフスタイルも価値観も大きく異なりますが、人生で直面する悩みはそう変わりません。自分のこと、親きょうだいのこと。夫や子供のこと。仕事のこと。いろんなものを背負いながら、真剣に命と向き合ってきた女性たちの物語は、現代の私たちが聞いても「分かる、分かる」とうなずけたり、「私だったらどうする?」と身につまされたりします。

本連載ではそれらのお話を引用しながら、私自身の体験談も織り交ぜ、現代に生きるみなさんと、とりわけ「姉妹」の方々と一緒に考える機会にできればと思っております。

プロフィル

あまの・わこう 1978年、青森県生まれ。東北大学文学部(宗教学)卒業後、夫と共に仙台市に単立仏教寺院「みんなの寺」を設立した。臨床宗教師でもある。著書に『みんなの寺のつくり方』(雷鳥社)、『ブッダの娘たちへ』(春秋社)、『ミャンマーで尼になりました』(イースト・プレス)など。現在、臨床宗教師に関するマンガを制作中。