内藤麻里子の文芸観察(58)
「一休さん」といえば、一般的には「この橋(はし)渡るべからず」の張り紙に、「はし(端)を渡らなければいい」と切り返したなどの頓智(とんち)で親しまれる僧侶だ。木下昌輝さんの『愚道一休(ぐどういっきゅう)』(集英社)は、そのモデルになった臨済宗の僧、一休宗純の実像に迫った歴史小説である。何がすごいと言って、臨済禅の道を追い求める、つまり求道(ぐどう)の姿に的を絞っていることだ。
内藤麻里子の文芸観察(57)
赤神諒さんの『佐渡絢爛(さどけんらん)』(徳間書店)は、佐渡金銀山を舞台にした時代ミステリーだ。相次ぐ怪事件の謎と、衰退する鉱山の立て直しという二本柱に、秘剣、恋模様、秘めた志、この地で盛んな能や名物の麩(ふ)など、さまざまな要素をこれでもかと詰め込み、登場人物たちもケレン味たっぷり。思い切り楽しませてくれる。
本会一食平和基金から緊急支援 台湾東部沖地震による被害に対し
台湾東部の花蓮(かれん)沖を震源とする台湾東部沖地震(マグニチュード7.7)の発生から、6月3日で2カ月が経過した。現地では、復旧作業が進む一方で、地震によって今なお、多くの人が避難生活を強いられている。こうした状況を受け、立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)はこのほど、被災者の支援に300万円の緊急拠出を決定した。
IARF日本チャプター青年グループが本会バングラデシュ教会青年部と交流
バングラデシュと日本の青年が一堂に会し、懐かしさに笑みを浮かべて友情を深め合う――。4月6日、立正佼成会大聖堂(東京・杉並区)2階の食堂で、国際自由宗教連盟(IARF)日本チャプター青年グループ主催の「バングラデシュ・日本青年交流会」が開催された。両国の青年が対面するのは2年ぶり。同チャプターの市川和一事務局次長、同メンバー、本会バングラデシュ教会会員ら17人が参加した。
内藤麻里子の文芸観察(56)
頭の体操をしながら読むのもまた小説の楽しみである。青崎有吾さんの『地雷グリコ』(角川書店)は、とびきり頭を使い、快感にあふれる読書体験ができる。本書が刊行されたのは昨年の11月末なので紹介するのは遅いと言われそうだが、一読したら取り上げずにはいられない快作だ。
内藤麻里子の文芸観察(55)
澤田瞳子さんの『のち更に咲く』(新潮社)は、こんなに自由に平安時代を描くのかと、驚きを禁じ得ない王朝エンターテインメントである。歴史の裏にあったかもしれない秘密に、藤原道長邸に仕える女房が迫る。次から次へと現れる謎、ミステリアスな人間ドラマから目が離せない。
利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(84) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)
悪事露呈の時代
自民党の政治資金パーティー裏金問題は国民の失望を招いている。衆議院に続いて、参議院でも政治倫理審査会が開催されたが、ほとんど新しい事実は明らかにならなかった。そこで、野党4党は証人喚問を要求し始めた。これは、当然だろう。
内藤麻里子の文芸観察(54)
テレビで観(み)るだけだが、実はバレーボール観戦が大好きだ。ミュンヘン五輪で金メダルを取って以降、長く低迷した全日本男子の試合も、忍の一字で放送されれば必ず観続けてきた。最近は世界に伍(ご)して闘う力をつけ、本当にうれしい。そこで手にしたのは、坪田侑也さんの『八秒で跳べ』(文藝春秋)である。
能登半島地震 高岡教会の会員同士が心を通わせ
富山県で被害の大きかった氷見市などを包括する立正佼成会高岡教会は、1月1日の発災直後、荒川公男教会長を中心に、会員への避難の呼びかけと安否確認を行った。同日16時12分に発令された津波警報を受け、県内の海岸沿いに住む多くの会員が避難指示に従い高台に逃げた。避難した会員の中には高齢会員もおり、家族と支え合って高台を目指した。
本会一食平和基金から見舞金 能登半島地震で被害受けた北陸3県に
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)は先ごろ、能登半島地震で被害を受けた石川、富山、新潟の1県8市5町に計3000万円の緊急支援(見舞金)を決めた。